「昨年末時点における国の借金残高は838兆50億円で、過去最高を更新したことが明らかになりました。」
朝食時、テレビで報道されたニュースです。『借金』という言葉に、何故か敏感に反応した娘が言いました。
「ママ、この借金ってどこから借りてるの?」
極めて自然な感想です。借金は借り手と貸し手がいるのです。一瞬悩みましたが、簡単にわかるように答えました。
「ランちゃんや、今の子どもたちが将来払う税金と、いつかランちゃんが子どもを産んだら、その子どもが大人になって払う税金も前借りしてる、ってこと」
反応はわかりやすかったです。
「ずるい!」
「何に使ってきたの?」
10才の子どもが不満に思う、そんな理不尽な政治がどうして行われてきたのでしょうか。国の借金は、赤ちゃんもご高齢者も1人あたり655万円に換算されます。次の世代に負担を先送りする政治がどうして続けられてきたのか、その総点検や見直し、責任のあり方が政府自身で問われたことはありません。
私は、2011年にプライマリーバランスをゼロにするという目標自体は否定しません。ただし、小泉元首相が決定をした骨太方針によって、一律に各省に歳出削減を強いた結果、国民が納得できない負担を押し付けていることには異議があります。例えば厚生労働省は毎年2,200億円の削減幅を実現し、国の医療費負担を抑えるために、75才以上のご高齢者に新たな医療保険料負担を強いる「後期高齢者医療制度」を創設しました。対象者は1,300万人で、保険料はなんと年金から天引きされます。介護保険料と新たな医療保険料が天引きされて手元に残った年金額で、最低限の生活が保障されるというのでしょうか。支払えない場合、医療費を全額自己負担とすることに果たしてご高齢者が耐えられるというのでしょうか。
借金は次世代に先送りし、負担はご高齢者に押し付ける。こんな政治が行われる一方で、10年かけて59兆円もの巨費を投じ道路は作り続ける、と政府は主張します。
到底、納得できないと、朝の娘の声からも実感しています。