この5年間、日銀は毎月購入する1兆2,000億円もの長期国債枠を守ってきました。今回、政府から提案された日銀総裁候補の武藤氏は、大蔵省に勤務していた時代は主に主計局で働き、自身が予算編成に関わることになった93年以降に、政府は新たに300兆円近くの借金をしてきました。その武藤氏が2003年に日銀副総裁に就任して以降は、長期国債の買い入れを続け、長期金利を低く抑える立場でありました。政府が借金をする時には財務省の中心に位置し、日銀副総裁になってからは借金を買い支える役回りを演じていることなどから、私たちには、この5年間、武藤氏は財務省の意向を日銀の政策に反映させているのではないかと見えました。
『財金分離の原則に反する』との判断は、今回の日銀総裁同意人事で初めて示した党の考えではなく、5年前に武藤氏が日銀副総裁に就任するかどうかの同意人事において、党は『財金分離の原則に反する』として反対をしています。
昨年夏の選挙結果で民主党が参議院第一党になった時、すでに福井日銀総裁の任期は今年の3月19日に切れることが決まっていました。私たちの日銀総裁への考え方も5年前から変わっていないことも明らかでした。そして、野党である私たちに総裁人事提案権がなく、人事提案は政府しか行えない事も法律上明白です。
今日の参議院本会議において自民党議員が野次でも言っていたように、「責任放棄」との言葉が政府・与党から聞こえてきます。しかし、総裁の任期が切れる直前に、私たちが同意できない人物を提案し、不同意の結果になったことを「責任放棄」と指摘するのは疑問が残ります。