保険料負担

今日、75才以上の年金受給者793万人の年金から後期高齢者医療保険料が天引きされます。
「保険料は上がりません。むしろ下がると思われます」
2年前の法案審査を行っている時から、厚生労働省は一貫して後期高齢者医療保険料はこれまでと変わらない、との主張をしてきました。ところが、先週、厚労省が東京23区の後期高齢者医療保険料と国民健康保険料を比較した表を初めて公開しましたが、年収およそ280万円以下の方々の保険料は値上がりをし、それ以上の年収の方々は負担が軽減されることが明らかになりました。同時に、三多摩にお住まいの方々の大半は保険料負担が重くなることもわかりました。新しい保険制度では、これまで子ども等に扶養され保険料負担がなかった200万人の方々にも新たに保険料負担が発生し、保険料を計算する時の年収は本人のそれではなく扶養している世帯主、お子さん等の年収となることから保険料負担は高いものになります。例えば東京23区にお住まいで、年収280万円以下、これまでお子さんの扶養で保険料負担のなかったご夫婦には大変な負担増となることが、制度が施行されて初めて明らかになりつつあるのです。

保険料負担のあり方について、法案審議の時にこうした推計値を一切示すことなく、負担は変わらないと言い続けてきた厚労省にも大きな問題はありますが、昨年の秋に就任した福田総理は、この制度が始まるとご高齢者の厳しい批判が予想され総選挙に不利になると判断したのか、突如、激変緩和措置として前期高齢者の窓口負担を2割から1割に下げると同時に、新しい保険料負担を半年間求めないといった「凍結」を指示、約1,500億円もの補正予算を計上しました。つまり、制度施行の先送り指示です。これによって、各自治体が今年春に向けて進めていた準備作業に影響があり、事務作業の滞りとなり、報道されているような混乱につながっていると思えます。

消えた年金、それでも天引き。届かない保険証のおかげで窓口全額自己負担、という事態が発生し、しわ寄せがご高齢者に押し付けられている中、福田総理はこの混乱について謝罪会見を行いましたが、今、行うべきは混乱の元凶となっている制度の見直し、提供される医療のあり方の抜本的な見直しではないでしょうか。
私たちは「命の値段は削れない」との姿勢に立った、医療制度改革の提言を昨年行いました。後期高齢者医療制度については野党4党で廃止法案を提出しています。政府・与党が一日も早く私たちの提言を検討し、国会で審議の場を設けてくれることを期待します。

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