納付率

衆議院の厚生労働委員会における民主党の代議士からの質問と資料要求で、今の国民年金の納付率のままだと「厚生年金の給付水準が50%を切る」ことが明らかになりました。
政府が2月に公表した年金の財政試算では、国民年金納付率「80%」を前提に試算を行っていますが、実は、この納付率は社会保険庁の努力目標であり、実際の納付率は平成19年度で63.9%です。厚生労働省が私たちの要請に応えて新たに行った試算では、65%の納付率の場合、所得代替率は49.2〜49.35%となり、50%以上を維持するという政府公約が守れなくなったことがわかりました。
政府が2004年に『100年安心』と謳って改正した年金改革関連法には、現役世代の男性の平均的な手取り賃金に対する年金額の割合は50%を維持する、と明記されています。法律でも、政府公約でも、50%を割ることが明らかになった場合には法改正など所要の措置を講じることになっています。今回、現実の納付率で再計算を行ったところ、5割を切ることが明確になったため、本来であれば法改正が必要となりますが、衆議院の厚労委員会における仲間のこうした指摘に対して、舛添大臣はほぼ開き直りに近いような答弁をされています。
「30年後の姿がどうだというそれぐらいのスパンでやっている。ずっと65以上(納付率)にあげないように努力するんですか。努力しないといけないでしょう。そう思いますよ」
「どの将来予測になるか、それは神のみぞ知るんですよ」
政府の責任において将来推計を計算し、制度の持続可能性を守るために法改正等を行っていくべき年金制度を、「神のみぞ知る」と言われた言葉には驚きました。

65%という実際の国民年金納付率を隠し、80%という楽観的な達成目標値を使うことで初めて、所得代替率5割の維持が可能になったことがわかりました。
しかも、厚労省は財政再計算の公表資料にこの「80%」という前提数値を明記していません。今朝開かれた部門会議で、この点について厚労省の担当職員が言われました。
「スペースの関係もありまして…」
平成21年財政検証の諸前提という公表資料には将来推計人口、労働力率、経済の前提がコンパクトにまとめられています。この3つの前提条件の間には充分なスペースがあります。国民年金保険料納付率を書き込むスペースがなかったとは、何とも理解し難い説明です。

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