民進党2017年度定期大会で、蓮舫代表のあいさつに続いて野田佳彦幹事長が登壇し、「2017年度活動方針案」と「2017年度予算・2016年度決算」の議案の提起を含む幹事長報告を行い、拍手で了承された。
野田幹事長は党大会議案の報告・提案に先立ち、「東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故から6年の月日が流れた。私たちは、決して記憶を風化させることはない。真の復興を果たすため、引き続き、被災者に寄り添い、再生に向けて取り組む皆さんを、党一丸となって支援していくことが民進党の方針であることを、まず冒頭で表明させていただく」と語った。
また、「昨年の3月27日、民進党結党直後から、党本部、都道府県連、地域組織が旧政党の垣根を越えた結束を固める取り組みを進めながら、同時並行で国政補選、参院選挙を戦い抜いた。特に参院選挙で、市民の結集を軸として野党が連携することによって11の1人区で勝利したことから、1強体制とも言われる政治の現状に、くさびを打ち込む一つの道筋を見出すことができた」「9月には、党員・サポーターも参加した代表選挙で蓮舫代表を選出し、『人への投資』が未来をつくるとの確信のもとで『FOR NEXT』キャンペーンに着手した」と、これまでの取り組みを振り返り、そのうえで、活動方針に関して次のように報告した。
■人への投資
民進党はこれから、教育の無償化やエネルギー政策の進化、人への投資を掲げていく。さまざまな困難に直面しながらもそれを乗り越えようとする人々、地域の新しい活性化に挑戦する人々などと一緒に現実を変えていく「FOR NEXT」キャンペーンを全国で展開するとともに、地域の中で、あるいは地域と地域を結ぶネットワークをつないでいく。
政策活動では、綱領に掲げる「自由」「共生」「未来への責任」を政策や法律案として具体化する。安倍政権への対立軸を明確に提示することによって、民進党が政権交代可能な政党であることを国民に示す。特に「人への投資」を前面に出した経済政策の具体化に力を尽くす。
■国会論戦
残業代ゼロ法案や「共謀罪」法案、カジノ実施法案など、重要法案は徹底した審議を求める。そして天下りあっせん事件、多くの国民が不審に思い、憤りを感じている国有地の不正払い下げ事件についても徹底的に追及し、全容を国民の前に明らかにしていく。
皇位継承等については、皇室典範改正による恒久的制度化というわが党の論点整理をふまえながら、国会の自発的な取り組みとして議論を深め、各政党が協力しあって法制化できるよう真摯(しんし)に取り組んでいく。
■選挙を勝ち抜く態勢
政治決戦の本年、衆議院の解散・総選挙に備え、選挙を勝ち抜く態勢づくりに、全党の英知と資源、そしてあらん限りの情熱を投入する。
補完政党も取り込む安倍政権の強大化に歯止めをかけるためにも、国民からは、野党が力合わせをしていくことも求められている。その場合、わが党としての政策の柱を立て、政策の一致点を最大限に確認することを前提に、市民との絆を軸とした野党連携の強化を加速する。
具体的な選挙対策としては、衆院定数の過半数に及ぶ候補者擁立、候補者の活動を総点検しながら底上げを図る支援、野党連携を実現する他党との調整・協議を実行する。候補者擁立と野党連携については、当選者数の最大化という視点から総合的に判断する。また区割り変更後を見据えた迅速な対応を図る。
■組織活動
今年度の党員・サポーター登録数については30万人を目標に掲げ、各組織の取り組みの点検を通じて、組織基盤の強化を図る。また、自治体議員局では、自治体議員からの要望・意見を集約するプロジェクトチームを立ち上げ、課題解決に向けた調査研究を行うとともに、党本部との問題意識の共有を図る。
■団体交流・国民運動
各種団体との連携強化も重要な取り組み課題。今国会の重要課題である「働き方改革」について、連合としっかり連携して、過労死ゼロ社会の実現を目指した全国的なキャンペーンにも取り組みながら、真に働く者の立場に立った改革実現に取り組む。また、年金・子育てなどの社会保障制度や奨学金問題、消費税の軽減税率問題等の課題も、関係団体と双方向の議論を行い、党の政策や活動に反映していくとともに、支持拡大に取り組む。
■男女共同参画
当たり前のように女性が政治の場に参画することが、わが国の政治を、社会を、暮らしを豊かにするためには必要不可欠。民進党が既に提出している「クオータ制導入を可能とする公選法改正案」成立のために、各党・会派に審議を呼び掛けるとともに、国民的な議論を喚起する。
党内でも次期統一地方自治体選挙での女性候補者倍増を達成するために、各地域での女性政治家養成スクール・セミナーの開催を促進する。また「WS基金」の活用や「女性議員ネットワーク会議」を通じて、女性候補の擁立を積極的に支援する。
■故・日比健太郎名古屋市議の思いを胸に刻んで
野田幹事長は「最後に特に申しあげたいこと」として、昨年亡くなった民進党所属の名古屋市会議員だった日比健太郎さんの思いにふれ、「自ら白血病と闘いながら、骨髄移植がしやすい社会づくり、ドナー登録制度の普及を訴え続けた彼の思いを、私たちは決して忘れない」と述べ、「民進党は、すべての白血病患者が骨髄移植をできる社会を目指し、全国で推進運動を展開するとともに、政策提言を取りまとめる」と宣言した。
報告終了後に野田幹事長は「衆院総選挙をはじめとした各種選挙の必勝に向けて、全党結束して取り組んでいただくことをあらためてお願いする」と求めた。
「2017年度活動方針案」と「2017年度予算・2016年度決算」は出席者の拍手で了承された。