参院予算委員会で9日開かれた安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議で蓮舫代表は、(1)安倍総理の「改憲の見解は『読売新聞を熟読して』」発言(2)「2020年に憲法改正を」とした安倍総理の考え(3)憲法審査会での憲法改正議論の在り方(4)北朝鮮情勢への緊急対応策(5)共謀罪法案の問題点――等を取り上げ、安倍総理らに質問した。
安倍総理が前日の衆院予算委員会で、改憲をめぐる総理の見解について質問した長妻昭議員に対して「読売新聞を熟読してほしい」と答弁したことについて「立法府軽視であり、到底容認できない。読売新聞の単独インタビューで改憲の意向を表明したが国会では説明しない。総裁としての考えは読売新聞を熟読しろという。国民の代表機関である国会で説明する責任を放棄している」と指摘し、撤回するか確認を求めた。安倍総理は「憲法改正については内閣として改正原案を提出する考えはなく、国会の憲法審査会で各党各会派が議論すべきものと考えている。私は行政府の長である内閣総理大臣としてこの場で答弁している」などと答弁。蓮舫代表は「総理・総裁は同一人格であり、考えは同じ。読売新聞では一方的に改憲の思いを話して、国会では話さない。なぜ使い分けるのか。総理・総裁を使い分けるのは二枚舌」だと述べ、便利に使い分けながらも取材は総理執務室で行っていることも指摘した。
安倍総理が「2020年に憲法改正を」と期限を切って発言したことについても質問。安倍総理は「2020年は東京オリンピック・パラリンピックが予定されている年で、まさに新しい日本を始めようという機運がみなぎっているなかで目標として掲げ、党での議論とともに国民的な議論を盛り上げていこうという決意のなかで申し上げた」などと答弁。蓮舫議員は「オリンピックであれば憲法も改正できる。共謀罪も出せる」という安倍総理の考え方を強く批判した。
安倍総理が8日の衆院予算委員会での長妻議員への答弁で「憲法審査会において議論が佳境に入っていくときを迎えている」などと発言したことについても取り上げ、「9条も改正もまったく議論になっていない。参院では自民党がずっと拒否をして今年1回も開かれていない」と指摘した。
共謀罪法案の問題も取り上げ、合意成立の手段について「電話やメール、ラインなど、デジタル情報でも合意したと判断するのか」と確認を求めた。金田法相が「電話や電子メールといったようなさまざまな方法で行うことが可能であると考えている。手段を限定することは考えていない」と答えたのを受けて蓮舫代表が「ラインやメールで合意したとどうやって確定するのか。監視をしなければ、この段階で合意したと分からない」と重ねて質問すると、金田法相は今度は「嫌疑がある場合には捜査を行うことになる。その手法として、やはり供述の裏付けあるいは客観証拠といったようなものが充実されてこようかと思う」などと答弁。答弁の矛盾を正すため蓮舫代表が重ねて答弁を求めると、金田大臣は当初と180度答弁を変え、「そういうデジタル情報について監視を行うものではない」と発言し、質疑は紛糾した。
短時間のうちに答弁が大きく変わったことに蓮舫代表は「嫌疑をもつためには合意があったと捜査機関が判断しなければならない。その合意の判断のデジタル情報をどう監視するのかと言ったら、当初は『ラインやデジタル情報も対象なる』と言っていたのに、途中から『対象にならない』と言う。このような不安定な答弁を繰り返す金田大臣のもとでこの共謀罪について粛々と審議することは認められない」などと訴えた。