2月11日に韓国の新大統領に就任する李明博氏とお会いする機会をいただきました。お会いさせていただいた場所は青瓦台ではなく、多くのSPが警備をするビルの会議室でした。昨年12月の選挙で新大統領に選ばれた李氏は、正式に大統領に就任するまでは青瓦台ではなく、新たに政権を引き継ぐ作業を行っている委員会が入るビルで執務にあたっています。おかげで広い豪華な会議室はなく、機能的な会議室での大統領との面談となり、李氏の声がはっきりと聞こえ、その表情を間近で拝見させていただける貴重な機会となりました。
韓国では若者の失業率が7.9%と高く、非正規雇用の増加等を背景とした所得格差が拡大、また、不動産価格の高騰等による資産格差も広がり両極化への不満が高まっていることなどから、新大統領に選ばれた李氏へは「経済再生」の期待が高まっています。
財界出身の次期大統領、李氏は、『コンピューター付きブルドーザー』との異名を持つ立志伝中の人物と報じられ、相当パワフルなイメージを抱いていたのですが、実際お会いさせていただいた李氏は物腰が柔らかく、距離感を感じさせない細やかな気配りをされる素敵な方でした。30分の予定が50分となった面談では、経済政策よりも外交政策への積極的な発言をいただきました。
「日本との関係は開かれた心をもって未来のために築いていきたい」
「北東アジアの平和、経済発展の為に韓米日の関係を深めていく」
「積極的な協力を行動にうつすことが大事である」
「就任式には5、6カ国の首脳が来られるが、日韓首脳会談だけは必ず行う」
穏やかな語り口ではありますが、李氏の言葉からは外交重視、アジアの発展、北朝鮮の非核化、そして日韓関係のさらなる強化を望む思いが強く伝わってきました。小泉元首相以来、残念ながら冷え込んでいた日韓関係ですが、李明博大統領の誕生を契機に、日本が積極的に動き出し、協力をしていくことで2国間の関係は飛躍的に発展すると実感した面談でした。
「外交は超党派で積極的に行うことが大切です」
今回の訪韓団団長を務められた加藤紘一衆議院議員が何度も言われていました。1泊2日の短い訪韓でしたが、韓国では学者やメディアの論説委員の方々、財界の方々を交えた意見交換や質疑応答を一緒に行うことで、与党議員の主張を聞くことができたこと、私たち野党の主張や思いに与党の議員が耳を傾けてくれたこと、率直な話し合いが行えたことは、与野党を超えて「日本」を代表するための最低限の共通認識を持つことができました。2日目にして、ようやく加藤先生の言われる超党派の意味を理解したところです。本当に勉強になり、アジア外交のために出来ることを行いたいと再認識した訪韓でした。
余談ですが、今回の訪韓団を大連立の一環では、と見るメディア報道が多く見られました。韓国でその点を問われた仙谷由人衆議院議員が言われた一言が、大連立を一蹴するコメントでした。
「こんな簡単なことで大連立ができるんだったら、もう政界再編はされている」
私が求める政権交代は、数合わせで与党を作り出すものではありません。