思いやり予算、在日米軍経費の日本側負担分支出を定めた特別協定が3月末で期限が切れることから、政府は、今後3年間延長するという新たな特別協定を提案しましたが、衆議院本会議での審議入りは先週の18日、委員会での審議は今日始まったばかりです。ところが、ここにきてこの件に関する参議院での議決が4月以降にずれ込むと、一時的とはいえ予算執行ができなくなり、日米関係に与える影響は大きくなることから、与党は今日中に委員会採決に持ち込むのではないかと言われています。
日米関係の重要性は否定しませんが、税金を使うのであれば納税者の理解を得られるお金の使い方をするべきだと思うと同時に、国会での開かれた審議が必要だとも思います。その意味で、与党にはそうした配慮が足りないと感じます。
今日、防衛省が公開した「基地における労働者全職種ごとの内容、給与、人数」を見ました。
「のこぎり目立工」:のこぎりの刃の目立て作業を行う。平均基本給が27万円。「ロッカールームアテンダント」:体育館、ロッカールームにおける清掃等雑役作業を行う。平均給与23万円。「バーマネージャー」:施設のバーサービスの監督を含む仕事を行う。平均月収は26万円。「ボーリング場マネージャー」:ボーリング場の管理に参画する。平均月収26万円。「ボートファシリティマネージャー」:遊覧、魚釣り等のレクリエーション目的のため船艇施設において米国人管理人の補佐として勤務する。平均月収が22万円。
他にもクラブマネージャー、ダイエットコック、観光ガイド、ボーリング用ボールの穴あけや修理を行うボーリングボール作業員、造園工、ハウスキーパー、キッチンワーカー、マッサージ師などなど、約25,000人の在日米軍基地で働く従業員の給与に加え、福利費、光熱水料といった在日米軍経費が日本側負担で賄われています。俗にいう「思いやり予算」と呼ばれるものですが、昨年度の予算額は2,173億円でした。
防衛省のホームページでは、この在日米軍の駐留にかかわる経費の負担について「在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上で重要である。このような観点から、わが国は財政事情などにも十分配慮しつつ、日米地位協定の範囲内で、あるいは特別協定に基づいて、できる限りの努力を払ってきた」との説明があります。つまり、日本の経済事情に配慮しながら経費負担を考慮していると言うのです。駐留米軍の実務を支える経費等を負担するというのであれば素直に納得できる余地がありますが、先に挙げたいくつかの職業に日本国民の税金を使うことが、本当に納税者の同意を得られるかどうかは疑問が残るところです。