国民の声

この週末、山口県の下松市、柳井市に行ってきました。多くの地元の方々と話す機会をいただきましたが、ほとんどの方が言われるのは「後期高齢者医療制度」についての不安でした。
乳児のお孫さんを抱くおじぃちゃんが85才になるけど医療費はどうなるのでしょうかという娘さんの声。母はまもなく米寿ですが、これからは医療を受けられなくなるのでしょうかという声。そして、75才になったら早く死んでほしいというのでしょうか、という切ない声。どうして75才で「後期」高齢者と決められてしまうのかと憤慨される声。

後期高齢者医療制度は、2年前に与党の強行採決で可決・成立した法律です。昨年秋に誕生した福田総理は、この制度が翌春から施行されると高齢者に不安や混乱を招くことになるとお考えになったのか、この春から2割となる予定だった窓口負担を1割に据え置くことや、保険料の軽減措置をとることを決められました。しかし、これらの措置はあくまでも一時的な先送りであって、来年春からは制度が本格施行されることになります。
法が施行される半年前に総理の意向で運用の一部が改められたとしても、法施行は2年前から決まっていたことを考えると、この制度を国民、自治体に周知徹底する厚生労働省の努力が足りなかったことは指摘できます。あわせて「消えた年金」問題が解決されていないにもかかわらず、年金から保険料が天引きされる方法への批判も多く、相当な混乱が国民の間に広がっています。

少子高齢化が進む日本で、高齢者の医療制度をどのように制度設計していくのか。保険料を設定する際の公費負担の割合、ご本人、現役世代の負担のあり方はどうあるべきか。年金から医療保険料を天引きすることが妥当かどうか。法律が施行されてから改めて注目を浴びる論点がいくつも浮かび上がってきています。
1,300万人おられる75才以上の高齢者が、この制度で支払う保険料総額は約1兆円です。国は、財政難を主な理由に高齢者にも応分の負担をお願いすると説明してきましたが、本当に1兆円を支出することができないのでしょうか。他方、道路建設には毎年6兆円の安定的財源が確保されています。政府は、今後10年間で59兆円ものお金を道路建設に使うとしています。その法案は30日にでも衆議院で再議決を行い何が何でも通したいとされているようです。

27日には、山口2区で行われている衆議院議員補欠選挙の結果が出ます。この結果次第では、国民が望む優先順位は道路か医療制度再設計なのかが明らかになります。政治は、この声に真摯に耳を傾けるべきだと思います。

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