まずは廃止を

5月23日に、野党4党共同提案という形で参議院に『後期高齢者医療制度廃止法案』を提出しました。今日、自民党と公明党に法案説明を行い、あとは委員会での審議が一日も早く始まることを待っている状態です。
4月に始まった後期高齢者医療制度への不満は至る所で耳にしますが、最大の問題は、厚生労働省による情報開示が進んでいないことに端を発しているのではないでしょうか。例えば、この制度を導入する際には「ほとんどのご高齢者(の保険料)が負担軽減になります」と説明されていました。ところが、国民健康保険制度においては、各自治体が採用していた算定方式は3つありましたが、厚労省が低所得者の保険料が軽減されると試算した算定方式はその中の1つに過ぎなかった事、しかも、この算定方式は全国8割の自治体が採用しているから「ほとんどの高齢者」と厚労省は表現していたのですが、実はこの全国8割の自治体に住んでいる75才以上の加入対象者は、後期高齢者総数の半分しかいなかったこと、残る半分の方々は他の2つの算定方式で保険料が徴収されていたのですが、後期高齢者保険制度になってこの方々の保険料が増えるのか減るのかという試算すら行っていなかったことも明らかになっています。

更に、昨日行われた党の部門会議で明らかになったのは、後期高齢者医療制度が始まったことで、所得税と住民税が増税になる世帯がいることです。
これまでご両親と同居し、子どもが世帯主として保険料を世帯でまとめて払っていた方がおられますが、この4月から75才以上の両親はそれぞれ独立した後期高齢者医療保険料を年金から天引きされて払うことになりました。その結果、世帯主として保険料を支払っていた子どもは社会保険料の控除額が減り、所得にかかる所得税と住民税負担が増えることが判明しました。
この問題を指摘し、厚労省に試算をしてもらったところ、『80才の両親と同居する事業所得が340万円の50才の国保に加入する自営業者』の場合、3月までの両税合計は134,800円だったものが、春から両親保険料分の控除がなくなったため、課税合計が143,500円となり、8,700円の増税になることがわかりました。
この『隠れ増税』とも言える現実が明らかになったことで、厚労省に制度導入時にこの事実を国会審議等で情報公開していたかを問うと
「我々は特段説明してきたことはありません」
と答え、結果として増税となることは医療制度改正とは直接関係することではないので説明する必要は感じないとのことでした。
メリット、デメリットを全て公開した上で開かれた審議を行うことが、国民の法改正への関心を高め、世論の声を反映した上での議論を行うことが出来るのですが、本当に残念なことに厚労省にはこうした感覚すら備わっていないようにしか思えません。
まずは、混乱しか招いていない後期高齢者医療制度を廃止し、国民の関心が高い今だからこそ、どういった医療制度を創設していくのかを提示していくことが政治に求められていると思います。
報道では、総理は今国会は延長しない方針だと伝えられますが、後期高齢者医療制度を与野党で審議する時間を確保する、という指導力を見せてほしいとも思います。

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