有害情報対策

昨日、教育再生懇談会が中間報告をまとめ、英語教育や学校の耐震化、子育て支援などの報告を福田総理に提出しました。
素案では「携帯電話を持たせない」、「フィルタリングを義務付ける」となっていたことから注目されていた小中学生の携帯電話保持については、「携帯電話を持つことがないよう関係者が協力する」、「(法的規制について)フィルタリングは今後更に検討する」となりました。携帯を子どもに「持たせない」ことや、仮に持たせる場合には「通話機能に限定する」と政府が決めることは出来ないし、フィルタリングは表現の自由という観点からも慎重な議論を行うべきもので、軽々に決めることもできません。今回の中間報告は素案よりも『現実的』な書きぶりになったように見えます。
「(携帯電話は)弊害もあり、色々な問題を起こすのは事実だ。子どもたちに与えていいかを親がしっかり判断すると同時に、携帯電話を持つことが教育的なのかどうか社会が関心を持つべきだ」
昨日夜、福田総理は首相官邸で記者団のインタビューにこう答えました。
残念ながら、総理は今子育てをしている世代の気持ちを理解していないと思います。メールやネット機能が付いた携帯電話を、好き好んで子どもに与える親はほとんどいないのではないでしょうか。むしろ、塾や習い事で帰宅が遅くなる子どもが、今どこにいるのか検索できる機能の利便性や、都内では激減しつつある公衆電話に変わって、子どもがいつでも親に電話ができること、まさかの時の防犯ブザー機能など、携帯電話を『子どもたちに与えざるを得ない』環境が広がっていることに総理はもっと着目をしてもらいたいと思います。
確かに、総理が言及したように、携帯電話に端を発し事件事故にまきこまれる事例も後を絶ちません。ただ、それを携帯が悪いと一言で論じるのではなく、ネットなどで流れる情報の善悪、真偽を使用者が見極める力、いわゆるメディアリテラシーをどのように子どもたちに身につけてもらえるかという視点が欠かせないと私は思います。

安倍総理の時代に提出した民主党の「日本国教育基本法案」では、第17条で『情報文化社会に関する教育』として全ての児童・生徒が仮想情報空間における情報の洪水に溺れないように、情報を的確に判断できる力を養うことを規定し、同時に子どもの権利条約を参考にして、有害情報から子どもが適切に保護されるという考えを盛り込んでいます。当時の国会審議で政府は、私たちの提案した情報リテラシー、メディアリテラシーの重要性に理解は示しましたが、残念ながら政府法案には取り入れてくれませんでした。
教育再生懇談会で有害情報対策が審議されている今だからこそ、総理に求められるのは、携帯保持の是非に対する感想ではなく、どうすれば子どもたちが自分たちで情報を的確に判断できるか、その訓練する場所をどのように確保できるか検討してほしいという『指示』ではないでしょうか。

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