後期高齢者医療制度を導入したこと自体への不満を、日本各地で耳にしています。さらに、こうした批判をかわすために、政府が様々な軽減措置、激変緩和措置を次々と閣議決定してきていますが、その後手にまわる対策による混乱さえも生じ始めています。
22日には、保険料納付の方法を年金からの天引きだけではなく、口座振替にするかどうか選択制とすることが閣議決定され、25日から施行されています。ただし、口座振替を申請しても実際に切り替わるまでに数ヶ月かかることから、今、申請をしても8月分の保険料徴収には間に合わず、10月分以降の保険料が口座振替になることになります。口座振替を申請できる方は、後期高齢者医療制度導入前に加入していた国保で、直近2年の間に保険料滞納がなかった方か、年金収入が180万円未満で、後期高齢者医療制度の保険料を肩代わりできる配偶者や世帯主である子どもがいる方のどちらかの場合です。
これは、保険料を年金から強制天引きすることへの不満が高まったことを受けて、政府・与党が対応したものですが、実は、配偶者や世帯主の口座から振替をすることになった方は、その方の後期高齢者医療制度の保険料が配偶者や世帯主の社会保険料として控除されることになり、結果、世帯全体の所得税や住民税が今より「安く」圧縮されることになるのですが、新聞に掲載された政府公報等ではこの点が案内されていません。25日に厚生労働省が出した政令変更について通知では、「世帯主又は配偶者が口座振替により保険料を支払う場合において、世帯全体の所得税及び個人住民税の負担額が下がる場合があることについて留意の上、徴収方法を選択することについて説明していただきたいこと」とあるのですが、口座振替を選べば世帯で減税される方が、これまでに4月と6月、手続きが間に合わなければ8月に計6ヶ月分の保険料が年金から天引きされることになり、この間は控除されるべき保険料が控除されないことになるのです。
昨日開かれた党の厚生労働部門会議で厚労省の担当者は、どのくらいの世帯で所得税・住民税がどれくらい少なくなるか「把握していない」と言われました。財務省の担当者も「税制改正を伴ったものではないので試算していません」と、これも把握していないと言います。
一度導入した新制度を、後から何度も手を入れ修正を繰り返すことになった結果、対応をする自治体に混乱を、納付される方々への大きな混乱を呼んでいます。75才以上の配偶者がおられる方、もしくは75才以上の親御さんと同居されていて世帯主となっておられる方は一度、自治体の窓口に控除についての問い合わせをしていただきたいと思います
先日、福田総理は「社会保障の機能強化のための緊急対策」として5つの安心プランを公表しました。そのトップに掲げられていたのが『高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会』でしたが、後期高齢者医療制度への対応を見ていると、安心プランを実行していきたいという総理の意気込みが全く感じられません。