派遣村

2009年の新しい年明け。皆さんはどのようなお正月を迎えましたか。
私は昨日の夕方、日比谷公園にいました。

日比谷公園には市民団体などがつくった実行委員会が「年越し派遣村」を大晦日に開設し、派遣切りなどで仕事と住居を失うことになった方々に宿泊用のテントと温かいご飯の炊き出しを提供しています。開村した12月31日には130人の方々が集っていたものが、昨日は300人を超えたとボランティアの方に聞きました。派遣村の存在が大きく報道されたこと、昨日まで上野公園で野宿をせざるを得なかった方々が日比谷公園に集ってきたことが理由ではないかとも伺いました。5時半から配られる炊き出しには、早い段階から長蛇の列が出来ていましたが、用意をされた食事は300人ほどで集まった方々に行き渡るかが心配と何人かのスタッフがつぶやいていました。

「ここに集まっている方々はみんな普通の方なんです」
「それなのに何故公園しか行き場がないのでしょうか」
寄付や支援物資を受け取る窓口でボランティアで働く女性が言われました。

「僕たちは、ただ安定した職が欲しいんです。正社員と同じ待遇なんて求めていません。せめて1年後が見える仕事をしたいだけなんです」
「先の見えない仕事で、不況になったら切られるために働いていたわけではないんです」
派遣村に来ていた私と同世代の男性が切々と訴えてきました。

厚生労働省は、当初、こうして失職する派遣労働者等は今年3月までで3万人と甘い見通しをされていましたが、その数字は8万人を越えると見通しを修正しました。また、派遣村が開村された3日目になって公園に隣接する厚労省の講堂を集った人々に解放しましたが、それも5日の午前9時までとのことです。それ以降、この方達への対応はどうなるにかまだわかりません。同省の見通しも対応も後手後手との批判は免れないと思うと同時に、政治が動いていないことを猛省しないといけないとも思います。

東京の中心街。官公庁のビル、国会が見える日比谷公園に集ってきている方々はホームレスではありません。ましてや自然災害の被災者でもありません。昨年末、突然解雇を言い渡され、未払い分の賃金をもらえずに会社の寮などを出ざるをえなくなり、職と家を失った方々です。
彼らに仕事の場所を提供するのは公の仕事であり、政治が行うべき最優先の課題です。

国会が1月5日から始まります。
政治は国民の命を守り、生活を守るためにあると私は思っています。
定額給付金より優先して行うべきは雇用対策です。
社会に広がる失業問題を見つめ、補正予算案を出し直すほどの覚悟が麻生総理にあるのかどうかを問う予算委員会が始まります。

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