「おくりびと」

第81回アメリカアカデミー賞で、「おくりびと」が日本映画として初めて外国語映画賞に輝きました。オスカー受賞です。本当に素晴らしい栄誉だと思います。滝田洋二郎監督のお父様が、テレビで「おくりびと」がオスカー受賞に輝いたことを伝えた瞬間に、炬燵から立ち上がり『万歳!!』をされた様子がとても印象的です。
随分前のことになりますが、まだ私が芸能界で仕事をしていた時、本木雅弘さんが所属するアイドルグループと舞台をご一緒させていただいたことがあります。すでにアイドルとして人気絶頂だったにもかかわらず、本木さんは気さくな方だったこと、そして、いつも台本を手にして真面目に取り組んでいる印象が残っています。スポーツ紙を読むと、本木さんは納棺師の仕事の独特の様式美を本で知って以来、なんと15年かけて、自らが企画者として製作資金捻出にも駆け回っていたとありました。努力が結実されたこと、本当におめでとうございます。
私は母とこの作品を見ました。静かなとても地味な映画ではありますが、納棺師を通して見つめる「生と死」に魅せられました。本木さんの美しい演技はもちろんですが、山崎努さん、余貴美子さん、広末涼子さんら、共演者の自然でいて力強い演技にも魅了されました。

さて、明るいニュースを胸に今朝の朝刊を見ると『年金水準30年後2割減』との見出しがありました。政府が5年ごとに行う年金財政の現況と見通しを明らかにする財政検証の結果が、昨日発表されたためです。今朝開かれた党の部門会議で厚生労働省から説明を受けました。それによれば、65才以上の高齢者の年金受給額水準を段階的に引き下げ、2038年度以降、現在よりも20%低く抑えれば公的年金制度は維持され、政府の公約である現役世代の手取り収入に対する厚生年金の割合5割も維持することが可能ということです。
ところが、計算の前提となっている数値に疑問符がつきます。出生率は前回04年時より現実的な1.26と下方修正されていますが、経済は長期的に回復するため賃金が年平均で2.5%上昇し、運用利回りは4.1%となるというのです。さらに、現在64%ほどの国民年金保険料納付率は80%に改善しているとも言います。この前提数値は「過去の傾向から得られた客観的な数字」と厚労省は説明しますが、あまりにも非現実的な、楽観的でいて無責任な見通しであるとしか思えません。04年に改正された政府による100年安心年金改革では、厚生年金と国民年金保険料を引き上げると同時に、年金額の水準を将来にわたってモデルケースで現役世代給与額の5割以上を維持するとしました。つまり、今回発表された年金財政検証は、政府の公約である5割水準を維持する前提で試算に使われた数値が非現実的な数字になったとしか思えないのです。
他にも、04年の改正では、09年度までに税制改革を通じ安定財源を確保することで国庫負担を3分の1から2分の1まで引き上げると法案に明記されていました。ところが、総理が何度も変わるという党内事情から、政府の税制改革は先送りされ、結局、今審議している平成21年度予算案では特別会計の埋蔵金を国庫負担引き上げに充てるということになっています。
守れない約束をいつまで数字合わせで通そうとしていくのでしょうか。

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