補正予算案に反対

平成25年度補正予算案、5.5兆円。行革骨抜きが判明。

私が行革の視点で精査した結果、現政府が自らの行革努力で削減したと明言する来年度予算4800億円の実に8割にあたる3600億円の事業が、この補正予算で復活計上されていることが判明。

民主党政権下で始めた事業仕分け、行政事業レビュー。現政権は、仕分けは廃止したものの各省庁が自らの事業について決算の観点から見直しを行い、来年度予算案に反映させる取り組みである行政事業レビューは継続している。政権のこの判断には敬意を表する。

が、今回の補正予算案はその行革の努力が水泡に帰した。

昨年の行政事業レビューの結果、事業の廃止、段階的廃止、縮減と判断され、平成26年度概算要求に反映された削減額は「3084億円」。さらに秋に行われたレビューで平成26年度当初予算案に反映された額は「約4800億円」。
レビューで評価された内容に沿って事業を廃止、縮減することで税金の非効率な使われ方を見直して来年度予算案に反映したと政府は言う。

ところが、来年度予算案と同時に提出された平成25年度補正予算案に、削減された事業がゾンビのごとく復活し、そのまま予算付けされたものが9事業「約3600億円」存在。
行革で来年度予算から削減した額のおよそ8割近くを補正予算案に計上。

付け替え、である。

例えば、総務省の「スマートプラチナ社会構築事業」(資料1_スマートプラチナ社会構築事業)は平成26年度概算で22億円の要求が当初予算で2億となり20億円削減したというが、補正では16億円が計上。
「ビックデータ•オープンデータの活用の促進」(資料2_ビッグデータ・オープンデータ活用の促進)は平成26年度概算で11億円要求するも当初予算では0円となって11億円削減したというが、補正では11億円計上。
「災害に強いG空間シティの構築等新成長領域開拓のための実証」(資料3_災害に強いG空間シティの構築・街づくり実証事業)は平成26年度概算要求24億円が全て削られ0円になったものが、補正で12億円計上。
「ICTを活用した新たな街づくり実現のための実証」は平成26年概算で18億円要求したが当初では0円となり18億円削減というが、補正では12億円計上。
厚労省「若者育成支援事業」(資料4_若者支援育成事業)は平成26年度概算で44億円要求が当初では0円となり44億円削減というが、補正で35億円計上されている。
農水省「農地中間管理機構による集積•集約化活動」は概算から当初予算において734億円削減したとあるが、補正では400億円が措置される。

などなど。本予算では削った形にしているが、その8割が補正でゾンビ復活。

秋のレビューとりまとめを題材とした昨年11月20日の「行政改革推進会議」で挨拶された安倍総理は『来年4月に消費税を引き上げるという厳しい決断をした。国民の皆様にご負担いただく税金が無駄な歳出や優先順位が低い施策に使われるといった批判は絶対に間中ないようにしていかなければならない』
『とりまとめられた検証結果をもとに…中略…行革担当大臣にもフォローしてもらってしっかりと来年度予算に反映していく』と公言。

なるほど、確かに来年度予算には削減が反映されたが、補正予算で救済しては行革の努力、意味がない。しかも、平成26年度予算のポイントとして政府が作成した資料(資料5_平成26年度予算のポイント)には「平成25年度補正予算と一体的に編成」と明言されている。自ら無駄と評価をし、本予算案から削減した事業が一体的に編成された補正予算案に盛り込まれたことを総理、行革担当大臣は何と説明するのだろうか。

おそらく、「額ではなく中身、質を改善するのが現政権の行革」との説明をすると思われる。

事業仕分けの時も行政事業レビューの時も私は同じことを言ってきた。事業の中身は否定しない。ただ、使われ方が適正かどうか、納税者の理解を得られるものかを問うてきた。今回の補正予算事業そのものも中身は否定しない。必要と思われる事業が並ぶと思われる。

ただ、行革で否定、改善指摘をした中身がそのまま補正で計上されている。

総務省、厚労省には直接担当者からヒアリングをした。補正にある事業と要求してきた事業との違いはあるかとも聞いた。答えは「同じです」と言われた。厚労省の事業は秋のレビューで「事業の有効性、費用対効果に関しての説得的な分析もなされておらず、PDCA サイクルの活用による適切な事業運営が行われているとは言い難い」「事業は有効とは言い難く、事業に終期を設けるなど出口戦略が必要ではないか」とまとめられている。ところが、補正予算案に計上した事業説明を聞くと、同じ事業ですとの説明、である。実際に資料を見ても事業名も中身も変わってはいない。「質」が改善したとは到底思えない。事業レビューに参加をした外部有識者が聞いたらどう思われるだろうか。

さらに指摘すると、昨年1月に現政権が組んだおよそ12兆円の補正予算のうち、まだ未執行の事業がある。例えば「JENESYS2.0及び北米地域との青少年交流」(資料6_JENESYS2.0及び北米地域との青少年交流)。訪日外国人を増やす、海外における日本ブランドへの国際理解を増進させ経済効果を生む、という事業で150億円を計上。中高校生、大学生等を対象に約35000人を日本に招聘、海外に派遣というものだったが、今はどうか。招聘された人数は想定人数の6分の1である6100人にとどまる。150億円は8つの団体に拠出金として流れたが、使い切れていないお金はそれら団体内にとどまっている。このお金は今後、事業需要がないままだと団体の埋蔵金になる。

この数年間、問題意識を持って追いかけてきているのが『基金』。今回の補正予算案でも基金は問題視する。

一度、国から基金管理団体にお金が流れると、その時点で100%の執行率になる。が、実態は需要が低かったり、周知が進まなく使われず団体に眠っている事例も多く見受けられ、私たちの政権下では需要の少ない基金は埋蔵金として仕分け、また、レビューで指摘し、国庫納付を進めてきた。ところが、現政権になってからは再度、基金へ積み増す事例が多くなり、今回の補正予算では総額の5分の1を超える1兆2227億円が基金に流れる。

中には平成24年度補正予算で措置したものがまだ使い切れていないのに、25年度補正予算案に積み増しを計上している事業もある。
例えば「商店街まちづくり基金」、「地域商店街活性化基金」。
24年度補正では200億円で商店街活性化のために街頭路、防犯カメラ、空き店舗活用を補助。100億円で物産展などの様々なイベント支援事業を補助するために基金化した。事業の中身は否定しないが、昨年12月26日に募集された活性化事業では前回募集からの変更点として『大売り出し等における抽選会、福引きの景品として地元産品等の購入費を補助対象に追加』となっている。本当にこんなお金の使い方が商店街を活性化させるだろうか、もう何でもありな使い方への助成金となっている。
かつ、昨年12月時点で前者は59億円、後者は47億円も基金に残高が残っているが、そこに今年度補正で前者に172億円、後者に47億円積み増す、という。こうなると、補正で作った一回限りの措置ではなく補正予算編成毎にこの基金を積み増し、残高の精査、事業の必要性がチェックされなくなり、残ったお金は埋蔵金になる。

研究費等の年度を超えた継続性から基金の必要性があることは否定しない。が、問題は一度基金として国から執行されると、その実態を追いかける仕組みがないことであり、需要のない基金が埋蔵金となり、基金の金利利回りで天下り職員などの人件費になっている事例もあった。

更に言えば、補正予算で基金に計上するのは財政法と矛盾する。財政法では補正予算は「緊要」な場合しか編成できないとあり、年度内執行が原則。が、基金は年度を超えて使える予算である。
しかも、今回の補正予算では新たに作られる2つの基金。
文科省の「革新的研究開発推進プログラム」(資料7_革新的研究開発推進プログラム)に550億円。
外務省の「アジア文化交流強化事業」(資料8_アジア文化交流強化事業)に200億円。前者は使い終えるのを平成30年度末とし、後者は32年度末としている。年度内執行どころか4、5年後まで使える基金を作るなら、本来は当初予算に堂々と計上すべきである。

私が政府内にいた時にやり残した『基金の行革』。
現政権はレビューシートのように「基金シート」を作り、基金の中身がわかるように改善をしてくれた。この措置は正直に評価をする。が、今、基金の中身を探ろうとすると「レビューシートをもって基金シートにする」というような簡略化が目に付く。レビューシートでは基金にお金が流れた時点で100%執行済みとなる。だからこそ、そのお金がどうなっているかを見るために作ったのが基金シートなのに、である。

現政権の今の行革姿勢には残念ながら全く賛同できない。

補正予算案の額を大きくし、経済対策への姿勢を示すというような姿勢はもうやめたほうがいいと思う。
結局は使いきれない事業に金が流れる、基金に溜まる、行革で削減や廃止した事業さえも復活させることにつながってしまう。
それは税金の使われ方の見直しに反するし、行政改革の名に値しない。

この補正予算案には反対する。