蓮舫代表は16日、熊本地震から半年、阿蘇山の爆発的な噴火から1週間が経過した熊本県に入り、阿蘇市内を中心に観光や農業で大きな被害を受けた被災地を回り、被災状況を視察した。
阿蘇市役所では、佐藤義興市長をはじめ担当者と面談。8日未明、36年ぶりに発生した阿蘇山中岳第1火口での爆発的噴火に伴う経過や被害状況、市の対応等について説明を聞いた。阿蘇山噴火で広い範囲で火山灰が降った阿蘇市では農畜産物被害が合計4813万4千円、農業用ハウスなどに被害が出ていているほか、観光関係被害が対前年比で合計1億2200万円、10月の3連休の日帰り客が昨年の7割減、被害額にして対前年比で約1億600万円に上るという。4月の地震による観光客の激減から噴火前までには5~6割まで観光客数が戻っていたが、噴火後2~3割まで落ち込んだと悲痛な叫びを上げた。
佐藤市長は、熊本地震の対応により財政的に厳しい環境にあるなかでの阿蘇山噴火だとして、「できるだけ農家や住民の負担が減るよう、力添えをほしい」と述べ、交付金等による財政的支援を要望。蓮舫代表は、熊本地震では岡田前代表がいち早く現地入りし、政府に対して支援を強く求めていたことにも触れ、「できる限り協力していきたい」と応じた。
蓮舫代表は熊本地震で大きな被害を受けた阿蘇神社や門前町商店街も視察。火山灰で葉が覆われたイチゴ農家の視察では、ちょうどハウスの屋根をかぶせる前の時期で、灰が直接作物に降りかかり火山灰で葉が覆われたイチゴを前に被害のすさまじさを目の当たりにした。一方、被害後新たに生えてきたという緑色の葉を前に自然の生命力を実感。一葉ずつ灰を丁寧に取り除いているという農家の方の労をたたえ、「奇跡のイチゴにしたい」という前向きな発言にエールを送った。
熊本地震で大きな被害を受けた西原村では、木造とプレハブの仮設住宅「小森第1~4団地」(計302戸)を訪問。日置和彦村長から被災状況等について説明を聞いた。小森団地は、もともと西原村の総合体育館建設の計画地として村が所有していた土地を利用したため、分散せず1カ所に建てることができたという。
蓮舫代表代行は一連の視察を終えて記者団に対し、「阿蘇市内を中心に見せてもらったが、特に観光では宿泊客の激減に加え日帰り客が対前年度比で7割も減っているということであり、市にとっての産業的なダメージは大きいと思う。イチゴ農家も訪れたが、農家の方たちの心が折れそうになるような、精神的な支柱がなかなか見えていないという側面を、視察を通じて実感した。できる限りの支援をしていかなければならないとあらためて感じた。仮設住宅も拝見したが、体育館に比べたらプライバシーが守られるとはいえ、狭く、孤独だ。村長さんからは、村ごと集団移転するという切ない選択も視野に入れているという話も聞いた。『忘れられるのではないか』というのが被災された方がいつも抱いている不安だと思うので、私たちはどうしたら個々人の不安を最大限取り除くことができるのかを考えなければいけないと感じた。今日だけではなく定期的に訪れることができればと思っている」とコメント。熊本地震については、「地域が分断されるという震災だった」との認識を示し、「道路という物理的な分断はもちろん、村落が点在しているなかでそれぞれの被害が大きく、孤立をするという特徴があったと思う。人口が減っているなかで村落が点在しており、そこが道路の分断により孤立状態になる。一つひとつの村、町に合った細やかな支援をしていかなければいけない」と力を込めた。
同日の視察を踏まえ、先日成立した2016年度第2次補正予算ではカバーしきれなかった今後の財政措置の必要性については、「夏の台風の被害により、東日本大震災の被災地や北海道にはまだまだ爪痕が残っている。熊本では阿蘇山の大規模な噴火と新たな被害が出ているが、残念ながら補正予算では対応できていないことがほとんどだと思う。こうした場合たいてい予備費で対応していたが、予備費がどれくらい残っているのか、しっかりチェックをしていく」などと述べた。
東日本大震災時に政権与党だった立場から今後の熊本地震への対応についての姿勢を問われると、「特に大規模な自然災害が昨今増えているが、与党も野党もない。われわが与党の時にも野党の皆さんのなかには建設的な提案をされた方もいた。私たちも今は野党であるが、追及ではなく丁寧な提案をしていきたい。特に被災者生活再建支援の額が適正であるのかどうか、あるいは今なお被災者の皆さんからは特措法の適用を求める声が高まっているので議員立法として出した方がいいのかなど、持ち帰って検討したい」と述べた。
視察には、松野頼久衆院議員、県連代表の鎌田聡県議会議員、同副代表の森本康仁熊本3区総支部長、矢上雅義熊本3区総支部長、同幹事長の上田芳裕熊本市議会議員、田辺正信熊本市議会議員、北垣潮上天草市議会議員、県連常任幹事の真重正仁氏が同行した。
※本文、画像は民進党HPより転載