平成29年6月9日
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」成立にあたっての談話
民進党代表 蓮舫
本日、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が参議院本会議で可決され、成立した。
日本国憲法が「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と定めていることにふさわしく、衆参正副議長による立法府の総意となるとりまとめが行われ、これを受けて政府が提出した法案が成立したことは大きな意義があり、憲政史上に残る成果となったと受け止めている。
民進党は、他党に先駆けて、昨年12月に、『皇位継承等に関する論点整理』をとりまとめた。昨年8月8日の天皇陛下のおことばが、「国民の理解を得られることを、切に願っています」と締めくくられていることを、極めて重く受け止めることを、我々の議論の起点とした。そして、皇室典範本則を改正して、「天皇は、皇嗣が成年に達しているときは、その意思に基き、皇室会議の議により、退位することができる」旨の規定を設けるべきとの考え方をとりまとめた。
こうした自らの意見をしっかり主張する一方、国民を代表する立法府における総意形成に向けても全力を傾注してきた。
ともすれば、政府が設置した「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」による偏った、密室の議論だけで大勢が決してしまうおそれもあった。しかし、衆参正副議長のもとに、各党・各会派が参加する全体会議が開催され、党派を超えて共通の理解が醸成され、民進党の主張もできる限り反映する形で、立法府によるとりまとめが行われた。衆参正副議長、各党・会派の関係者の皆様のこれまでの御努力に対して、心から感謝の意を表したい。
附帯決議に「女性宮家の創設等」という具体的な文言が入ったことは、正副議長による取りまとめに沿うものであり、かつわが党の従来の主張にも沿うものである。国会審議においても、「将来の先例となり得ること」「遅滞なく法律を施行すること」など私たちが指摘した主要な論点について、政府より確認答弁を得ることができた。
この法律によって、天皇陛下の退位、皇嗣の即位が実現することになるが、皇位の安定的継承をはじめ、皇室・皇位に関わる現実に差し迫った重要な課題についても、引き続き向き合っていかなければならない。
皇位は男系で継承されてきた歴史的経緯を踏まえつつ、他方で、高齢化や女性皇族のご結婚に伴う皇籍離脱により、天皇陛下及び特定の皇族方にご公務が集中し、皇室のご活動の維持や皇位継承資格者の確保に困難が生じることへの対応が速やかに検討されるべきである。
民進党は、女性皇族がご結婚後も皇族の身分を保持し、当該女性皇族を当主とする宮家の創設が可能となるよう皇室典範を改正すべきだと考える。
皇室の弥栄を祈念し、両陛下、皇族方のお気持ちをくみ取りながら、しっかり国家の基本に関わる象徴天皇制を支えるため、わが党は引き続き努力を傾注していく決意である。
以上