参議院の予算委員会で質問された先輩議員の大塚耕平さんが、この15兆円の補正予算を『でたらめ』ではないか、と指摘されていましたが、予算書を調べれば調べるほど、まさに『でたらめ』としか思えない予算付けが積み重なって、結果、15兆円になったとしか思えません。
『私の仕事館』など採算性が全く採れない事業を進めてきたことなどから、今年度中に廃止することが閣議決定されている「独立行政法人・雇用能力開発機構」。ここは雇用保険料の事業主負担分を主たる収入源としている独法ですが、今回の補正では、この独法に6億円の予算を補助し、3年間にわたる事業を委託するとしています。今年廃止される独法に、3年間事業を委託するというのは閣議決定の形骸化です。しかも、この独法は159億円もの剰余金を抱えているにもかかわらず、新たに6億円の事業委託を行う緊急的必要性を感じません。
他にも、「独立行政法人・国立女性教育会館」は、本予算では施設費が0円と、全く計上されていませんでしたが、この補正予算案ではいきなり19億円が計上されています。その中身は冷暖房機器を変え、暗くて電力を大量に消費するので蛍光灯を3,200台変えるというものです。この施設費の緊急性を問うと「エコですから」との説明を受けました。この独法役員には文部科学省からの出向者がいます。ここは平成19年の整理合理化計画で、自己収入比率を高めるよう指摘されていましたが、依然、国からの運営交付金、施設整備費依存体質から抜けきれていません。交付金頼りの体質を改める前に蛍光灯を変えることが何故優先されるのかがわかりません。
「独立行政法人・国立青少年教育振興機構」。ここは理事長と理事4人のうち2人が文科省からの天下りで、残る2人は教育関係者です。機構の保有する27の宿泊施設のうちまだ整備されていなかった19の施設に武道場を今回の補正予算で新たに増築するとしていますが、その理由は武道場を建設すると宿泊客の増加が見込めるからだと言います。ところが、すでに武道場を整備した8カ所の施設で実際に稼働率が上がったというデータは存在していないとも言います。一体、何をもって武道場でお客さんが増えるから建設する、と言うのでしょうか。
農林水産省は地産地消・産直緊急推進事業に87億計上しました。その中に、『電気炊飯器を活用した米飯学校給食の推進』という事業があります。これは、学校で給食時にお米を炊いて食べてほしいので炊飯器を支給するという事業で、予算は10億円。上限2万の補助なので5万台の電気炊飯器を購入できると言います。確かに、炊きたてのご飯が美味しいことは否定しません。地産地消の大切さを子ども達に知ってもらうことも否定はしません。ただ、どうしてその答えが電気炊飯器なんでしょうか。1クラス30人だと炊飯器が4台必要と言います。3クラスで6学年だと72台。72台の炊飯器がお昼同じ時間にタイマーでご飯を炊きます。足りない電源確保、お米を研いだり炊いたりする人材確保に、衛生管理などは、全て学校が自己努力で確保してほしいという説明にも愕然としたところです。
他にも、いくつもの疑問が浮かぶ事業が各省庁から提出されています。
15兆円の予算は麻生総理の私財ではありません。財源は税金です。国民1人あたり12万円もの税金の使い道が、本当に経済効果があるかわからない事業に使われることに全く納得ができません。