新たな年金問題が深刻な事態となっています。
消えた年金記録が見つかると記録が訂正され、これまで受け取れなかった年金の未支給分が支払われることになります。ところが、記録の訂正にかかる社会保険庁の事務処理が全く追いつかずに、訂正されるべき記録件数のうち64万件が手もつけられていないことが明らかになっています。記録が訂正されないと未払い分を受け取ることはできません。社保庁によれば記録が訂正され未支給分をお支払いするには平均で7ヶ月かかるとのことですが、すでに高齢の方にとっては、とても待てる時間ではありません。
今朝、71ヶ月分の厚生年金記録が宙に浮いていたために、31年間無年金だった女性の義弟のB夫さんが民主党の厚労・総務部門合同会議に来てくださいました。女性は平成10年に社保事務所に行き自身の年金について相談をしていたのですが、加入期間が足りず無資格だとの説明を受け、無年金になったと言います。そのため働かないと生活ができないことから78才までいくつかの職場で仕事をしていたところ、79才になって脳内出血で倒れ、以降、今日に至るまで7年間意識もなく寝たきりの状態となっています。この間、消えた年金問題が大きな社会の関心事になり、義弟のB夫さんが社保事務所に何度か相談に訪れたところ女性の消えていた年金記録が見つかり、実は無年金ではなく受給者であったことと、31年間分受け取っていなかった年金が受け取れることが判明しました。
記録が消えていなかったら、平成10年の相談時に社保事務所職員がきちんとした対応をしていたら、この女性が無年金になることはありませんでした。一月12万円の年金を受け取っていれば、女性の生き方は違うものになっていたと思われます。
消えた年金、消された年金問題は被害を受けた方々の人生に大きな影響を与えるものなので、とにかく、国家の危機として対応を行い解決を急ぐように私たちは何度も指摘を行い、救済策を提案してきました。残念ながら、この2年3ヶ月で総理が3人変わっている今の政権政党には、何としてもこの問題を解決するという一貫した姿勢が見えません。
この女性には未払い分の年金が支払われることになりましたが、まだ支給されていません。義弟のB夫さんによれば社保事務所からは謝罪もないと言います。
記録の訂正処理を行っている人員は秋に200人ほどだったものを、来年までには300人体制にすると厚生労働大臣は委員会で答弁しましたが、消えた年金記録の持ち主と思われる方々にすでに1,030万件の年金特別便を送付していることを考えると、この人員数ではとても対応できるものとは思えません。
何度もここで書いてきましたが、定額給付金に2兆円もの財源を使うのであれば、年金記録回復のために使うべきではないでしょうか。総選挙で国民の信を問うていない政権が、国民の声を聞かずに国庫を好きなように使うことはあってはならないと思います。