今日の朝刊に「保険料過払い分返還」という記事が掲載されています。
国民年金には「任意加入制度」というものがあり、通常、60才まで保険料を納めるところを、25年ルールを満たすためや年金額を増やすために60才以降も保険料を納めることが可能となっています。ところが、支払う保険料が40年目で満額となった時点で本人が資格喪失の申し出をしないと、その後、年金額に反映しない保険料を払い続ける事例が生じることになります。平成16年の法改正で平成17年4月以降は、保険料納付が満額となる480ヶ月以降も払い続けた保険料があれば、本人にお返しすることになったものの、法改正が施行される平成17年3月末までは、過払い保険料分は還付されず、両者の間で不平等な待遇になることから、私たちはこの問題を解決すべきだと主張をしてきました。
60才を越えて任意加入で国民年金保険料を支払っている方は約27万人おられ、そのうち、どれくらいの方が過払いしているかは不明ですが、過払い分はお返しするべきではないかと、4月1日の厚生労働委員会で私が質問したところ、大臣はこう答弁しました。
「同じ問題意識を持っているので法の運用で対応できるか検討する」
この答弁から何日待っても、社会保険庁から検討結果の報告は聞けませんでした。そこで、長妻昭代議士や山井和則代議士らと一緒になって過払い保険料を還付させる民主党法案を提出したのが昨日の14時15分です。ところが、この法案提出直後の14時半に、社保庁は全国の社会保険事務局長宛に『通知』をFAXし、今朝の報道にあったように「保険料過払い分を返還」する方針を伝えたと聞きました。通知を見ると、確かに「納めすぎた保険料を還付できるもの」と書いてあるのですが、還付される対象者は自分から申し出た方だけで、知らずに過払いを続けている方は対象外です。さらに、どうやって還付していくのか「具体的な取り扱いについては追って通知することにしている」とあり、まだ何も決まっていないのです。
大臣が「検討する」と公式に答弁をしてから2週間後にとった社保庁の行動は『通知』を一枚FAXするだけです。社保庁の検討とは、一体何を検討していたのでしょうか。しかも「具体的な取り扱いの決まっていない」通知を、私たちの法案提出直後に出したことは何故なのでしょうか。
昨日行った会見で、長妻さん、山井さんが何度も言われました。「こんなに早く法案内容が実現できたのは初めて」だと。審議も法改正も採決も行わず、法案提出からたった15分後の通知一枚で解決できるものを何故、委員会質疑から2週間も店晒しにしていたのでしょうか。
私たちが法案を出すまで何もしない。民主党が法案を提出したら通知で改善策を講じる。法の欠陥を運用で対処するというような場当たり的な官僚政治がまかり通っているのが、今の政治の現実だと改めて思い知らされました。