昨日の厚生労働委員会で、今年5月に有効期限の切れる「駐留軍関係離職者等臨時措置法」の有効期限を延長する案について質問をしました。
在日米軍基地等で働く日本人労働者は約25,000人おられますが、基本的に在日米軍基地等は国際情勢の変化によって整理統合や撤退が突然決まるなど、「安定雇用」とはいえません。平成18年に日米間で合意した米軍再編のロードマップでは、平成26年までに沖縄を中心とした基地の施設が再編によって日本に返還される予定になっていて、この施設で働いている約5,000人の方々の雇用の継続が心配されることから、今回、法律の有効期限を延長して対応策を講じることには賛成です。
質問準備のためにこの法律を調べ、基地等で働く方の募集や情報提供、労務管理を行う独立行政法人「駐留軍等労働者労務管理機構」という機構があることがわかりました。労働者の雇用主は国、使用者は米軍であることから、問題が発生した時に労務管理を担当する第三者機関の存在が必要であることは否定しませんが、実は、沖縄にある基地については、全て機構を通して求人募集から採用まで行われることになっている一方、沖縄を除く地域ではハローワークで求人情報を提供、また、関東では米軍がホームページで直接情報を案内し、雇用まで行っているのです。ハローワークに任せられる仕事、あるいは基地が直接行える業務を、中でも沖縄地区は独占的に機構が行っているのは何故かを防衛省に問うと「(機構が)専門的な見識を持っている」との答弁です。この答弁では、ハローワーク、労働行政の機関では「専門性が欠如」しているから見識のある機構が担っている、と聞こえてしまいますが、実はこの機構の理事長、理事は全て防衛省からの天下りで占められています。本来、機構で行える調査等もこの機構からやはり防衛省の天下りの方々が役員を務める「駐留軍労働福祉財団」にさらに丸投げされています。機構の収入の99%を占めている国から機構への交付金(税金)は年間43億円で、そのうち、機構の行う業務に要する費用は約7億円。交付金の8割が人件費等で使われていることや、機構が行える業務がさらに天下り団体に委託されている実態を見ると、税金が機構や団体を維持するために使われている疑いが払拭できません。
一年間に国から天下り団体に交付される税金は12兆円です。交付先の団体に天下っている元官僚はおよそ3万人います。たった1つの法律案を調べるだけで2つの天下り団体が簡単に見つかり、その業務の適正さやお金の使われ方に疑問が残るほどですから、全ての天下り団体を見直すことで交付金の見直しを抜本的に行うことは可能と考えます。
政府は、独立行政法人改革で整理合理化計画を進めると閣議決定していますが、残念ながら各省庁の抵抗によってなかなか進んでいないのが現実です。