少子化対策予算

内閣府がまとめた平成20年度少子化社会対策関係予算案によれば、来年度の予算案総額は1兆5,714億円となっています。この予算案の範囲内で、待機児童対策、妊娠・出産対策、子どもの安全対策、学童保育対策、中学校以上の奨学金、一人親支援策、パートタイム労働者支援、フリーター対策、働き方の見直し、地域の少子化対策などなど、実に多岐にわたる支援策が行われることになっています。仮に、今35万円支給される出産一時金を50万円まで引き上げ、出産無料化を行うと必要となる財源は6,000億円になることを考えると、政府の行っている少子化対策がいかに広く薄く、脆弱かということに気付かされます。

予算に限りがあることを考えると、無駄遣いを一掃し、新たな財源をつくり出しながら予算の重点的配分を行う必要があります。そこで、改めて政府の少子化対策予算案を精査すると、国土交通省の行う「子育てバリアフリーなどを推進する施策」として『LRTシステムの整備』という項目が見つかりました。
ベビーカーを押して歩いて気付く事は、道路の段差、違法な立て看板、放置自転車など、なかなかスムーズに進むことができない道路の現実です。その意味で道路のバリアフリー化は確かに必要で、望まれる施策ではありますが、この『LRTシステム』とは、『路面電車走行空間改築事業』であって、路面電車の新設・延伸に係る走行路面・停留所等の整備のための改築費のことです。つまり、路面電車を整備し、停留所にスロープ等を整備することが公道のバリアフリー化につながり、ひいては少子化対策に資するといって、国交省は「子育てバリアフリー推進事業」を行っているというのです。しかも、この改築事業費は『道路特定財源』から捻出されていて、平成20年度は1億5,000万円の予算案を計上しているのです。またか、という思いです。ガソリン税が道路特定財源に組み込まれ、少子化対策に資するとの勘定で「子育てバリアフリー事業」として路面電車を整備しているのです。

どんなに譲歩して国交省のお金の使い方を理解しようとしても、この「少子化対策に資する」という勘定のあり方には納得ができません。道路特定財源で路面電車を整備することが少子化対策になるというのであれば、その予算を使って、例えば保育所の病児保育事業を推進するために直接活用するほうがよほど効果があると考えます。

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