蓮舫代表は30日、東京都足立区の生涯学習施設・学びピア21を訪れ、NPO法人キッズドアが運営している「タダゼミあだち」を視察した。
「タダゼミあだち」は、親の経済状況などから塾などに通えず、高校受験対策に不安がある中学3年生を対象とした勉強会。大学生を中心としたボランティア講師がマンツーマン形式で受験対策を無料で行っており、参加者の高校進学率は100%。この事業は2011年からNPO法人キッズドアが足立区より場所の提供を受け実施している。
同法人の渡辺由美子理事長、足立区生涯学習センターの平野昌暁総括責任者(学習センター所長)から概要の説明を受けて授業現場を視察し、その後に講師ボランティアから話を聞いた。
渡辺理事長は、学習支援の効果について、「応援してもらう機会がなかったような子どもが、ボランティアの講師から声を掛けられ、受験を応援してくれる人がいることで頑張る。頑張ると、その人たちが喜ぶ。そうすると自立をして前向きになる。初めは勉強する気もなかったり、高校なんてどうせだめだと思っていても、自分で勉強していくようになり、自分で将来の夢を持ち、大学に行ってみたいと思うようになる、その変化がすごくいい」と、学力が上がる直接的な効果以外にも大きな意味があると説明した。
また親にも毎回の出欠席など細かく連絡をとることで、「自分がちゃんとしなくてはいけない」「ちゃんと行かせなきゃ」「進路を考えなきゃ」と思ってもらえるようになり、「親子関係が良くなり、お母さんたちも笑顔が増えてくる」という。
「給付型奨学金をぜひ作ってほしい。成績の優秀な女の子が『親に申し訳ないから』と15歳で大学進学の道を諦めてしまう。生活保護を受けていないが、低所得世帯で頑張っているという人たちにチャンスがあるようにしてほしい」と渡辺理事長。また、それが実現した暁には、高校3年になってから制度を知っても遅いので、中学生や高校1年などの早い時期に情報を伝える必要があると話す。
授業の視察で蓮舫代表は、一人ひとりの様子を丁寧に見て回り声をかけた。授業後には一緒に写真を撮りたいと子どもたちからリクエストがあり、「自撮り」で多くの参加者と記念撮影を行った。
ボランティア講師らとの懇談では、「数学が苦手な子が、好きになってくれた」「最初は緊張して話してくれなかったが、(今は)学校や家のことも話してくれるのでうれしい」「(いろいろな性格の参加者がいるので)話していることをしっかり聞いて、受け止めてあげることが大事だと思う」といった話が出た。
視察後、記者団の取材に応じた蓮舫代表は、「ようやく政府も給付奨学金にかじを切ってくれた。成績要件のハードルが高いと思うが、国が奨学金でしっかりサポートすることが大事。いま(受験対策支援の)現場を見たが、大学生がオーダーメイドで教えてくれることで、全員が高校に進むことができる。これは(子どもたちにとって)可能性を広げることにつながるので、私たちもどうしたらNPOの活動、奨学金の支援を進めていけるのか(検討し)、教育は宝だということを政策の軸にしたい」「こうしたボランティアで子どもたちに教えている現場というのは派手なものでもなく、多くの区民が気づく活動でもない。そこに政治がしっかりと眼差しを向けている、注目している、その活動を評価していると伝えていくこと、そこから声を聞くことはとても大事だと思う」と視察の感想を話した。
視察には柿沢未途役員室長と地元の北條智彦東京13区総支部長が同行した。