今日、参議院の予算委員会が開かれ、政府提出の平成20年度補正予算案の締めくくり総括質疑が行われ、採決されました。政府案は予算委員会と続いて開かれた参議院本会議で否決され、2兆円の定額給付金部分を削除した民主党などの野党修正案が可決されました。とはいえ、補正予算案は憲法第60条の規定をもって衆議院の議決が優先されることになるため、政府案が成立することになる見通しですが、報道各社の世論調査で国民の多くがその効果に疑問を感じ、見直しを求めている定額給付金の削除を是とした参議院の意思を、麻生総理はどのように見られているのでしょうか。
今日の予算委員会では同期の広田一議員(高知県選出)がとても鋭い指摘を行い、勉強になる質問をされました。
昨年10月に提出された第一次補正予算案と今回の第二次補正予算案をあわせて、政府は1兆7,168億円の『既定経費節減』を行ったと報告していますが、実はそのうち1兆512億円は国債利払い費の過大見積によるもので、行財政の無駄を削減したものではない、との指摘です。
広田議員の作成した資料によれば、この5年間、国債利払い費は約7兆円もの規模で決算がされてきていますが、当初予算額と比較すると1兆から1兆8,000億円もの見込み違い額、つまり不用額が発生しています。中川財務大臣の説明によれば、国債マーケットにおける金利見通しは難しく、財務省は不足額を発生させないために毎年2%と高めに設定しているとのことです。確かに、借金返済の利息予算を低く設定して足りなくするよりは、余ったほうがいいとの説明はわかります。ただ、広田議員が指摘をしたのは、国際利払い費の見込み違い額は政府が努力をして無駄を削減したのではなく、想定していた余剰金であり、これを堂々と『既定経費削減』と説明するのは納税者である国民に対して間違った説明をしているのではないかという点でした。残念ながら、中川大臣から広田議員の指摘に対する明快な説明は全くありませんでした。
この指摘はとても正しいと思いました。
以前、消えた5,000万件の年金記録を回復するための経緯を、すぐさま税金を使うのではなく自らの既定経費を削減することで捻出すると社会保険庁が説明をされましたが、中身を見ると、予定していた庁舎の改修工事を来年度予算以降に先送りするとか、しばらく凍結するといった中身となっていたことがわかり、社保庁の主張する予算先送りでは経費削減にならないことを国会で指摘をしました。広田議員の指摘で、財務省までも国債利払い費の余剰金を『節減努力』の経費として説明していたことには呆れます。
こうした政府の姿勢だからこそ、行財政改革を行うことなしに天下りや渡りを容認し、消費税の議論を行っていくことを提起することに矛盾を感じないのかもしれないと思ったところです。