「新銀行東京は、要請があれば審査対象になると考えています」
思わず耳を疑いました。昨日、民主党の財政金融・農林水産合同部門会議を開き、金融庁と農水省から政府の金融機能強化法案についてヒアリングを行いました。その中で、新銀行東京が今回の法案で救済対象になるということが明らかになりました。
昨日、新銀行東京の融資担当として勤務していた元行員が逮捕されました。元行員がブローカーなどと一緒になって、5,000万円の融資金を銀行から不正に融資した疑いです。営業実態のない会社に大口の融資がなぜ許されたのか、また、銀行の内部調査ではこの他にも不正が疑われる融資案件が複数見つかっていると報道されています。
石原都知事の選挙公約から誕生した新銀行東京は、都が1,000億円を出資して3年前に開業されましたが、焦げ付きが膨らみ続けたことなどから累積赤字はすでに1,000億円に達しています。それにもかかわらず、融資のあり方、経営のあり方などが厳しく問われることなく、都議会では自民・公明両党の賛成で、新たに400億円が出資されることになりました。今回の事件でも明らかになったように、一体どれだけいい加減な業務を行ってきたのかを早急に調査を行い、責任の所在を明確にすると同時に被害を最小限に食い止めながら撤退の道を模索するべきだと思います。
言うまでもなく、今回、政府が提案してきた金融機能強化法案はサブプライムローン問題に端を発したアメリカ発の世界同時株安によって、保有株が大きな影響を受け、その経営危機が懸念される金融機関に対し公的資金の注入を可能とするものです。金融機関の経営の弱体化を政府が支えることで、銀行などからの中小企業や零細企業への貸し渋りや貸しはがしを防ぎ、世界金融危機が日本経済に与える悪影響を最大限に抑えたいとする方向性には賛成です。ただし、公的資金とは税金であり、税金を使い金融機関を支えるのであれば情報公開とあわせて、救済対象となる金融機関の選定は慎重に行うべきで、この機会に経営が疲弊しているほとんどの金融機関を公的資金注入対象にしてしまうことはあってはならないとも思います。ところが、政府案では、サブプライム危機以前の放漫経営、回収の可能性のない融資を繰り返してきた新銀行東京が公的資金注入対象になる、とされているのです。
あり得ない話です。