与党は、3月末で期限が切れるガソリン税などの暫定税率を5月まで延長する「つなぎ法案」を昨夜、議員立法で提出しました。法案は衆議院与党の数の力で可決される見通しで、道路特定財源も含んだ租税特別措置法案が仮に参議院で否決されたとしても、「60日ルール」を行使すれば参議院で否決された法案は衆議院における3分の2の多数の再議決で成立します。つまり、暫定措置は今後も続くことになり、道路が作り続けられることになります。
「奇策」ではなく「適策」である、と伊吹自民党幹事長が話していました。
一体、どこが適切な対策だと言えるのでしょうか。政府が成立を望む政策は、野党の主張を無視し、国会審議を軽視し、参議院の存在意義を否定してでも、どんな手法をとってでも成立させるべきものだとは思えません。
租税特別措置法案には、100以上の租税に関する項目が含まれ、そのなかの40近い項目が予算執行と深い関連があり、時限性のあるものです。私たちは、例えば中小企業対策、オフショア預金課税などは減税を続けるべきものであり、他方、ガソリン税の暫定税率は廃止すべきであると考え、一括法案で対応するのではなく個別に対応を審議させてほしいと要請をしてきましたが、政府は「一括法案」を提出しました。そして、参議院で法案が否決された場合には「60日ルール」を使い、何が何でも成立させる意思を議員立法で示したのです。
3日前から審議は始まったばかりです。これまで40年もの間、なぜ「暫定」税率が必要だったのか。一体、どんな道路にどれくらい使われてきたのか。費用対効果はどうなのか。テニスラケットや国交省職員宿舎に流用されてきたのは適正かなど、道路特定財源に使われてきた予算の精査を行うことがまず優先されるべきです。そして、これからも暫定税率を続ける必然性。特定財源の是非。10年で59兆円もの財源を確保したいとしていながら、具体的には何にいくら使われるのかが見えない問題も丁寧な国会審議を行い、情報公開を行った上で、国民の皆様がどのような反応を示されるかを見ながら、暫定税率のあり方を政治が判断すべきだと私は考えます。しかし、今回の与党の議員立法は、これからの衆参両院での審議がどうであれ、国民の声が何であれ、道路特定財源は「国民のために必要」だから暫定税率は絶対に続けるという強い意思を示しています。
そこには、昨今の原油高によるガソリン価格の高騰、石油関連製品や食料品の値上げなどで圧迫された家計負担を軽減するために、ガソリン税1リットル25円の値下げを行うべきかどうか。ガソリン税減税を行った場合に予定されていた道路建設は廃止か凍結か。道路の整備•修理はどうするのかという、仮に暫定税率を廃止した場合の措置や想定できる事態についての審議は行わないという意思も透けて見えます。
私は、これは与党による審議拒否だと考えます。自らの存在意義にもかかわる法案の提出を参議院の自民党議員が了承していることにも疑問を感じます。
「私は内容に関与してない」
「新聞では見てますけど」
昨日、衆議院予算委員会で「つなぎ法案」提出について聞かれた時の福田総理の答弁です。つまり、自分は与党の決定過程には関与していないのでわからない、と言われました。政府提出法案に関して総理の指導力を自ら否定する発言には思わず耳を疑いました。
国会はしばらく荒れることになります。