地方税収見積の見通しについては額賀大臣が。
年金問題解決への決意は舛添大臣が。
憲法で規定された国会の役割については町村官房長官が。
今日行われた衆議院の予算委員会。担当大臣の見解を伺った後、総理の考えを求めた菅直人代表代行、松本剛明前政調会長の再質問に対して繰り返されるのは担当大臣の同じ内容の答弁で、総理自らが積極的に答弁に立たれる場面はありませんでした。また、ガソリン税について「環境の側面から暫定措置を続けてほしい」との総理発言の真意を質した細野豪志代議士への答弁は、冬柴国土交通大臣と鴨下環境大臣で、総理が真っ先に答弁されることはありませんでした。
予算は国の骨格であり、内閣の意思です。
予算の重点配分がどこに置かれているかを見ると、その内閣の最重要課題や総理のやりたいことが見えてきます。ところが、今日の予算委員会における総理の答弁からは「自分の内閣の予算」について国民を納得させるために説明したい、という姿勢が見えませんでした。
改めて、福田総理が総理としておやりになりたいことがあるのかどうか、疑問を感じた審議内容でした。
今、予算委員会で審議をされているのは平成19年度補正予算案についてです。厚生労働省は宙に浮いた年金記録対策費として201億円の補正予算を計上しています。その中に『ねんきん特別便専用ダイヤル』という項目があります。昨年12月から年金受給者で、かつご本人のものと想定される宙に浮いた記録がある方に『ねんきん特別便』が社保庁から送付されていますが、手紙を受け取った方が電話で相談する先がこの『ねんきん特別専用ダイヤル』です。
この電話相談業務を社保庁から受注しているのが民間企業2社。最低価格で応札した社が落札者となる一般競争入札ではなく、社保庁が総合的に判断して落札者を決めるという総合評価方式で決められた2社です。
この電話相談業務にかけられる補正予算は18億円。
しかも、内訳を見て思わず驚いたのは電話相談の現場で働かれる方々の『時給』です。社保庁は電話相談業務に関する仕様書を作成し、電話相談業務を受ける相談員を管理者、スーパーバイザー、オペレーター、バックオフィスオペレーターの4種類で構成すると指示していますが、1社の時給はそれぞれ「5,500円」、「3,200円」、「2,390円」、「2,080円」となっています。
管理者の仕事はオペレーターの労務管理や教育、電話対応の内容確認、業務資料管理に情報管理、セキュリティ管理という内容です。また、年金に関する知識、年金相談への適切な対応能力は社保庁における5日間の研修のみで、しかも、研修を受けるのは管理者ではなく業務受託者が研修を受けて、受託者が管理者やオペレーターなどに適切に伝達研修をすればいいとなっています。つまり、実際に電話相談を受ける方々の知識が適切かどうかの判断は業務受託者に任されているのです。
5日間の研修や5,500円の時給が適正かどうかの前に、この時給で管理者を外部発注するのではなく、宙に浮いた年金記録を放置していた社保庁の職員が、自ら電話相談業務の現場に出かけてその業務を担うべきではないかと考えます。18億円もの税金で電話相談を外部に任せる前に、社保庁職員が相談対応を直接行うべきではないでしょうか。
国会での焦点が「道路特定財源」に移り、「年金」への関心が少しでも薄れたと判断したのでしょうか。補正予算だからそんなに注目を浴びないとでも考えたのでしょうか。
社会保険庁のお金に使い方には、ただ呆れるばかりであります。
この問題は予算委員会で仲間に取り上げてもらう予定です。