2006年5月31日(水)
先送り
衆議院の厚生労働委員会で、年金事業機構法案が今日から審議入りされる予定でしたが、先送りされました。 民主党としては、法案審議にあわせて社会保険庁の粉飾疑惑を正していく方針で、馬淵すみお代議士、長妻昭代議士が質問をする予定となっていました。 2年前、社会保険庁が組織ぐるみで年金保険料を職員の福利厚生に使っていた事実を明らかにした長妻さんと、今国会で、耐震偽装問題を鋭く追求した馬淵さんの二人が、「調査中」として口を閉ざす社会保険庁に、粉飾疑惑の事実を問う質問をする予定だったものが、昨晩、審議は中止。質問自体がなくなったということです。 不正免除について社会保険庁が内部調査を行っていることを理由に、与党が審議入りに強行に反対をし、今日は他の法案の趣旨説明が行われる事になったからです。 国民の関心が高い社会保険庁の問題を先送りし、国会が閉じてしまった後は取り上げない、という与党の姿勢が見えるようです。 今日の参議院の本会議で小泉首相は言いました。「国民の視点からの改革、保険料回収率の向上を目指し、長官を民間から登用した。今回の件は遺憾だが、村瀬長官には引き続き全容解明をして、組織改革に全力で取り組んでもらいたい」 村瀬長官の保険料徴収における「民間並み」の営業ノルマに対して、社会保険庁の職員が行ったのが、今回の免除問題です。だからこそ、長官の努力、目標が達成できないものを「不正」に「粉飾」した職員の質、組織体制が問われています。もはや内部の浄化を待つのではなく、政治が社会保険庁の在り方を問い、組織を改革することがもとめられている時の、この総理の言葉、政府与党の先送り姿勢はどうなんでしょうか。
2006年5月30日(火)
社会保険庁
社会保険庁の年金不正免除がとまりません。 本人の同意がないまま年金保険料の免除や猶予を社会保険庁が勝手に決定し、手続きをしていた件数は、新たな調査により従来発表よりも約25000件多い約82000件であったことが判明しました。 社会保険庁職員らによれば、保険料納付者を少なくすることで、納付率をかさ上げするために行われたといいますが、この行為は国民年金法に違反しています。法律違反である上に、勝手に免除手続きをされた方々は自分の知らないうちに、将来受け取れる年金がなくなることになります。 年金は社会保険庁の面子のためにあるものではなく、国民の将来の生活を支える保険だということの意識が明らかに欠除しています。 また、昨日は、防衛庁施設談合事件の初公判が開かれました。 検察側の冒頭陳述で明らかになったのは、施設庁側の割り振りが裏付けられた工事金額が、03年が約567億円。04年が約881億円で、年間の発注額の半分をも占めていたということ。さらに、こうした談合は施設庁OBの再就職が目的だったことも明らかになりました。 国民の納める保険料を無駄遣いしていたことが明らかになった2年前、私たちは、社会保険庁の廃止を訴えましたが、政府与党は「年金改革」は終わったとして協議さえもしてくれませんでした。 談合を誘発する随意契約、天下りを一掃するための法案を、今国会の行政改革特別委員会に私たちは提出しました。無駄遣いをなくす、と同じ姿勢を示している与党ですから、審議に応じてくれるものと期待をしていましたが、「随意契約については反対の理由がないから」との理由で審議をしないことになった、と聞きました。 政府与党のいう改革とは何なんでしょうか。 今の私たちに問われているのは、野党として真実を徹底究明し、必要な法制度改革を訴える事。そして、私たちが与党となった時に、私たちの改革をどうやって現実的に進められるかという手法と意気込みだと思います。
2006年5月29日(月)
置き去りにされる命
愛知県で生後2ヶ月の男の子が、窓の閉め切られた車内に放置され、熱中症と脱水症で亡くなりました。警察は保護責任者遺棄致死罪の疑いで両親を逮捕しました。 朝9時から5時間、両親は揃ってパチンコ店でスロットマシンをしていて、その間1度も長男の様子を見に行かなかったと伝えられています。逮捕された時には「ショッピングセンターで買い物をしていた」と虚偽の説明をしたとも。 毎年、夏場が近くなると、駐車場に置かれた車の中に放置された小さい子どもが亡くなる、というニュースが報道されます。しかも、連日のように事件が発生するからなのでしょうか。そのニュースの扱いがとても小さいのです。 私は、小さいニュースだとは思いません。出来るだけ、新聞でテレビのニュースで報道されてほしいです。多く報道されればそれだけ多くの読者、視聴者の心に残ります。そうすれば、「ほんの少しだから」、「よく眠っていて起こすのが可哀想だから」という理由で車中に子どもを置いていく保護者が減るように思えます。また、駐車場に止めてお店に行こうとする人々が、止まっている車の中に子どもが一人でいる様子を目にした際に、「大丈夫だろうか」と気にしてくれるようになる効果もあると思います。 今回の事件で逮捕された両親がゲームをしていたパチンコ店は、子ども連れの入店を断っている店でした。遊技場に乳幼児を連れて行く是非はありますが、車中に置き去りにされる命を考えると、ぜひ、駐車場を備えた遊技場は子ども連れの入店を認めてほしいと強く思います。
2006年5月26日(金)
卵焼き
今朝、寝坊をしてしまい6時に起きると、娘が泣いています。 何があったのか聞いたところ。「あのね。パパが5時に起こしてくれなかったの」(何でそんなに早くに…)「でね。一緒に卵焼き作る、ってやくそくしたのに…」(卵焼き!?)「パパが1人でもう作っちゃったの」(楽でいいのに…) 早く起きて卵焼きを作りたかったのに、起きられなかった、ので泣いているのです。 子どもってすごい。 起きられなかったから仕様がない。作られたものを食べよう。などと都合良くは考えないのです。で、悔しくて泣けるのです。 その後、一緒に卵焼きを作って食べさせてから、学校へ送り出しました。 あの純粋な気持ちを守り続けてもらいたいな、と思います。
2006年5月25日(木)
放送と通信
今年から、ヤフーのホームページに「みんなの政治」という項目ができました。天気やスポーツと同じように「政治」も詮索できることになり、政治ニュースと並んで国会議員のブログが読めるようになっています。 みんなの政治ページには、今日から国会議員の本音トークをポッドキャストでダウンロードして聞けるようになりました。私も、早速「少子化」について語っています。しかも、アップした直後にもかかわらず、すでに私の話を聞いてくれた人からメールをいただきました。ネットの世界のスピード感を実感しています。ネットの様々なツールから直接ご意見をいただけることは私にとって、本当に貴重なものです。お時間があればぜひ聞いていただきたいです。 今朝、民主党の総務部門会議で「放送と通信の融合」について、竹中総務大臣の私的懇談会座長を努める松原聡さんから話を聞き、意見交換を行いました。 現行の法体系を簡単に言うと、「放送」は電波を使い不特定多数に番組を放送するもので公共性が義務づけられています。一方、「通信」は無線・有線で情報が送信されるもので、公共性ではなく秘密の保持が守られています。 とはいえ、この春から携帯電話でテレビが見られるようになりました。2011年にはテレビがデジタル化します。ネットの普及率も飛躍的に伸びてきています。ネットで番組や映画を見られるようになり、テレビでネットを楽しめる環境も整ってきているなか、法制度を抜本的に変えて「放送」と「通信」を融合しようというのが、潮流になってきました。来年度から本格的な改正議論が交わされる事になると思いますが、テレビとネットを融合するには、著作権を始めまだまだ問題がいくつもあることも事実です。 昨日、党の正副幹事長会議が開かれた時、議論となったものが、党関連の情報(国民の皆様に配布するリーフレットや訴えを書いたパンフレット等)を党からデータで発信することの是非でした。国会議員の中にも、もちろん、地方議員の中でも、ネットではなく、ファックスで情報を欲しいと要望する方がいるからです。その場で答えは出ませんでしたが、デジタルデバイドにどうやって対応していくのかも、まだ大きな課題だなと思っています。
2006年5月24日(水)
「青いうた」
「青いうた」という映画が上映されています。 映画大好きな同僚の松井こうじ参議院議員の誘いを受け、昨日、議員仲間10数人でシネカノン有楽町にこの映画を見に行きました。 舞台は青森県むつ市。母子家庭で育てられる主人公とその弟、同じような家庭環境で育つ主人公の同級生の女生徒。医者を継ぐことを当然とされている後輩の4人の人間関係と、それぞれの歩む道が描き出された作品です。 1人は進学で東京へ。女生徒は美容師を目指し地元で就職。主人公は金持ちになることだけを夢見て東京へ行くことに。 バスで12時間かかる東京で待っていた現実は、彼らの「夢」をかなえてくれるのか。田舎に残されるそれぞれの家族、女生徒と主人公の弟の切ない気持ちが、「翼をください」、「ケセラセラ」、「見上げてごらん夜の星を」、「木綿のハンカチーフ」などの懐かしい曲で色付けられていきます。 青春、という言葉を口にするのもはばかれる年齢になりましたが、この作品は青春群像作品です。自分の中学時代を思い出し、思わず涙するシーンもありました。東京生まれで東京育ちの私にとって、「上京する」覚悟や思いはわかりませんでしたが、議員仲間はそれぞれ自分が東京を目指した思い出を懐かしんでいたようです。 見終わった後、ほんわかする気持ちを味わえる作品でした。会期末を一ヶ月後に控え、連日動きのある国会で仕事をしている私たちにとって貴重な時間でした。
2006年5月23日(火)
ひき逃げの罪
佐賀で起きたひき逃げ事件。ひき逃げされ、現場から1.5キロ離れた林道に放置されていた11才の毅くんは、家族に発見され、病院に搬送されたところ、今朝段階でまだ意識は回復していないものの、手を触れると反応があり、回復に向かっていて、一ヶ月後には退院できると伝えられています。 どれほど怖い思いをしたのか。病院で闘っている意識で何を思っているのか。回復した後の心のトラウマは大丈夫だろうか。そして家族の不安や怒りはどれほどか。同じように育児をしている日本中のお父さん、お母さんが思ったことと思います。 佐賀県警は早朝に、土木作業員の坂口三之治容疑者を道交法違反と業務上過失傷害の疑いで指名手配しました。 毅くんが早く回復すること、犯人が早く捕まってほしい、と思いますが、県警は、事故現場に落ちていた車の塗料や破片から犯行に使われた車を割り出す際、工事現場で前部のウインカーが壊れたダンプカーを発見、その場にいた作業員らにこのダンプカーの運転手を尋ねたといいます。実は、その作業員の中には今回指名手配された坂口容疑者もいたのですが、隊員が応援の警察官を呼ぼうと現場を離れた数分のうちに、坂口容疑者が逃走し、行方がわからなくなったと報道されています。どうしてその場で取り押さえられなかったのでしょうか。 法律によれば、ひき逃げは「救護義務違反」といい、5年以下の懲役、又は50万円以下の罰金となります。酒気帯び運転や無免許運転、大幅な速度超過が原因で事故を起こした場合には、危険運転致死傷罪と判定され1年以上15年以下の懲役となります。業務上過失傷害罪は、業務上必要な注意を怠り、よって人を傷害する犯罪をいい、法定刑は5年以下の懲役若しくは禁固、又は50万円以下の罰金となっています。 ひき逃げし、被害者を連れ去り捨てた場合、結果、どれくらいの罪に問われるのか調べたのですが、正直、こんなに軽いのかと愕然としました。 大人が注意をして回避できる事故でも、子どもは巻き込まれる危険があります。子育てをしている保護者は、子どもが事故にあわないようにといつも願っていると思います。今ある命を守るために、道交法、業務上過失致死傷罪は見直していく必要があると考えます。
2006年5月22日(月)
医療制度改革法案
今日開かれた参議院本会議で、政府提出の医療制度改革法案の趣旨説明と代表質問が行われました。 問題の多い政府案ですが、中でも新設していこうとする「独立型高齢者医療制度」には疑問があります。 独立型高齢者医療制度とは、75才以上の高齢者は、それまで加入していた保険ではなく、新たに新設される「高齢者医療制度」に加入することになります。受診時の自己負担は1割、現役並みの所得がある方は3割負担となりますが、給付の財源は、高齢者負担1割で、公費負担を5割、残る4割をなんと、現役世代の保険料に上乗せして徴収するものとなっています。 つまり、現役世代は自分のためではない保険料を払わされていくことになるのです。政府は、増大する高齢者医療費を制度改正によって、現役世帯に払ってもらう制度に変えようとしています。負担に対しての見返りとなる給付サービスのないものは「保険制度」なのでしょうか。 民主党の山本たかし議員の鋭い質問に対し、川崎厚労大臣は言いました。「一人当たりの医療費が高く、将来増大が見込まれるので、国民全体で支え合う、という精神に基づくものです」 この法案改正で現役世代の負担が、しかも自分の怪我や病気のために使われない保険料を払っていく事になると知っている国民はどれくらいいるのでしょうか。国民に周知徹底し、その理解を得る作業を省いた制度改正には反対です。参議院ではもっともっと慎重な審議が必要だと思います。
2006年5月19日(金)
生命のメッセージ
秋田で、七才の男の子が殺害されて発見されました。首に絞められた跡があったこと、先月、近くで9才の女の子も遺体となって発見されていたこと。 去年11月に栃木県で6才の女の子が通学路で襲われ亡くなりました。犯人がまだ捕まっていないことに強い怒りを覚えていますが、この通学路も雑木林に挟まれる人通りのない道でした。今回、秋田で少年が発見された川辺も、報道映像で見る限り、人通りのなさそうな場所です。 秋田の男の子は集団下校をし、家にたどり着く直前に行方不明になっています。集団下校もスクールバスを導入しても目が届かない場所がいくつもあります。大人が、地域が子どもを守る術への限界を感じます。 昨日、衆議院議員会館で「生命のメッセージ展」が開かれました。この展覧会は、殺人事件、交通犯罪、医療過誤、いじめ自殺、一気飲ませなどで亡くなった方々の写真、その方が履いていた靴と亡くなった経緯をパネルでまとめて展示し、その死の原因を社会問題として考えていこうというものです。 娘さんを交通事故で失ったお母さん。加害者は覚せい剤を吸っていて「心神喪失」状態で罪が軽かったこと。旦那さんが職場の仲間に殺害され、3年経っても捨てられた遺体が見つからないと話す奥さん。小さな靴が並ぶパネルには交通事故で、犯罪で亡くなった子どもの写真がありました。直視できませんでした。でも、私は政治家として、最愛の人を突然失う理不尽な現実を見て、何をするかを考える立場です。 今日、犯罪の企てを話し合っただけで罰せられる、治安維持法を彷彿とさせる内容の「共謀罪」を、与党が数の力で強行採決する見通しです。 現実に日々起きる事件。日本に住む全ての人の命を守る努力をするのが政治です。医療制度法案の強行採決、共謀罪の強行採決。政府与党はこの国の危機を軽んじているのでしょうか。
「生命のメッセージ展」ホームページはhttp://www.inochi-message.com/
2006年5月18日(木)
強行採決
昨日、衆議院の厚生労働委員会で「医療制度改革法案」が与党の数の力で強行採決されました。 この政府案は、高齢者の窓口負担を引き上げる事で、医療費の抑制に努めようという内容で、70歳から74歳の自己負担率を1割から2割に引き上げ、豊かなご高齢者の自己負担率も引き上げていこう、というものです。 年金も、介護も、そして医療も。政府が進めている改革は、国の財政負担を減らすために国民の負担額を増やす、という財政改革でしかすぎず、抜本的な中身の見直しはほとんどなされていません。 医療制度改革で言えば、深刻化する小児科医不足、看護師不足、産婦人科医不足をどうやって解消するのか。医師の過酷な職場をどうやって改善し、医療過誤をなくしていくのか。死亡原因のトップであるガン対策にどうやって取り組むのか。治療を受ける前に大切となる「予防医療」をどうやって位置づけていくのか。国民が安心して受けられる医療制度の審議を進めるために、民主党は対案を提出し、与野党の対立ではなく、政策審議を深めより良い法案にしたいと主張をしてきましたが、民主党案はほとんど審議されることなく昨日の強行採決になりました。 何をそんなに急ぐのでしょうか。素朴な疑問です。 人口が増えてきた時代に作られた社会保障制度を人口減少時代にあわせてどのように変えるのか。当然、財政面だけの議論では抜本的解決にはつながりません。 昨日の強行採決後に開かれた党首討論。徹底した審議をつくしてほしいと主張した小沢代表の質問に対し、総理は「賛成」と言いました。代表も指摘していましたが、強行採決をした直後の答弁ではないと思います。
2006年5月17日(水)
「子ども園」
新宿にある24時間開設、365日営業の認可保育園「エイビィシイ保育園」へ視察に行きました。 生後43日のゼロ歳から5歳までの59人を保育所で預かると同時に、幼稚園児を預かる幼保一体型の運営を行っている保育園で、多様な働き方をする保護者を応援したいという片野園長先生の言葉。24時間営業に甘えて、保護者が子どもを育てていないのでは、ゼロ歳から預けるのはどうなのか、といった批判はあるが、保護者は本当に子どもを愛しているが、働き方が24時間化する都内でその需要に答える場所が必要、施設でも自宅でも子どもを大切に育てることに変わりはない、と明快に答えてくれました。 今、国会では幼稚園機能と保育園機能をあわせもち、教育と保育を一体的に行うことのできる「認定子ども園」を秋から始めるための法改正審議が行われています。 働いている保護者の子どもは保育園、専業主婦の子どもは幼稚園という枠にはまった考え方の見直し、親の就労の有無に関係なく、子どもが同じ施設で保育と教育を受けられるために「認定子ども園」を創設するという立案の趣旨は大いに賛成できますが、問題は中身です。 今回の政府案では、幼稚園が保育所機能を持つ場合、その施設に厚生労働省からの補助はありません。逆に保育所が幼稚園機能を持つ場合にも、そこには文部科学省からの補助はありません。つまり、新たな機能を持ち、新しくお子さんを預かっても、そこにかかる経費は施設が自己負担することになるのです。これでは、認定子ども園が制度化されても、新たに手をあげて「子ども園」になる場所は少ないのでは、と聞くと園長先生は言いました。「ほとんどいないのでは。」 よほど、豊かな財政事情の自治体か施設でなければ「子ども園」になろうというインセンティブは働きません。 親の就労の有無にかかわらず、子どもが健やかに育つ環境を整備するには、財政的な支援は欠かせません。いわんや、文部科学省と厚生労働省の縦割り行政がそのまま補助金に表れる新しい施設は誰のために、何のためにつくるのでしょうか。 せっかく制度を新設するのであれば「絵に描いた餅」になることは避けるべきです。
2006年5月16日(火)
松野頼三先生
昨日、元衆議院議員松野頼三先生のお通夜に行きました。政界の大物である頼三先生とはもちろん面識はないのですが、ご子息で衆議院議員の松野頼久さんとは学生時代からのお付き合いで、私が政界に入ってからも親しくさせていただいているご縁があります。 青山斎場で行われたお通夜には始まる時刻の前から長蛇の列ができ、国会議員も続々と弔問に訪れています。献花の名札を見ても政財界の大物のお名前が並んでいます。祭壇に遺影と共に帽子と外套が掲げられていました。 私にとって「政治家」というと、いつも折り目正しい格好をしている吉田茂さんをイメージしますが、その時代を活躍された方だったんだろうな、と思いました。頼久さんもいつもきちんとした格好をし、政策でもぶれることがない姿勢なのは、お父様の影響だと思います。 今日行われるご葬儀では、鳩山由紀夫幹事長が弔辞を読まれるそうです。政界を引退しても「指南役」として党派を超えて貴重な助言をされていた、と聞きます。時とともに世代交代が進むのはとめられませんが、政界での経験などを耳にする機会が減るのは、私たち若手政治家にとって残念なことと思います。
2006年5月15日(月)
母の日
昨日、子ども達から「母の日」のプレゼント、といって赤いカーネーションの鉢植えをもらいました。これまでも、プレゼントはもらったことがあったのですが、それは石にペイントしたものや、私の似顔絵だったりで、手作りでない「商品」をもらうのは初めてです。自分たちのお小遣いで買ったこと。1000円を持っていったら消費税がかかり1050円と言われてショックだったこと。でも、お店の人がおまけしてくれて嬉しかったこと。一週間前に買ったので、ママに見つからないように隠すのが大変だったことなどなど、代わる代わるにプレゼントへの思いを話してくれました。 なるほど。二人の貯金箱が見つからないな、とか。歯磨きのコップが一つ行方不明になっていたな、とか。洗面所から二人の部屋にかけて、点々と水がこぼれていたな、と。 母の日まで、一生懸命に水をあげて育てていたようです。 その気持ちだけで胸が一杯でした。 母の日は、私にとって私の母へのプレゼントを探す日でしたが、気がつけば、私も「母」として祝ってもらえる嬉しい日になっていました。
2006年5月12日(金)
教育基本法
昨日、委員会に行く途中に与野党の議員が「総理は郵政民営化以降、なんかやる気がなくなってるんじゃないか」 と、話していました。 確かに、国会は指導力のないまま迷走をしています。 教育基本法を審議する特別委員会設置、共謀罪強行採決の構え、医療制度改革における与党の中途半端な審議、国民投票法提出の動き。 中でも、教育基本法を変えるのであれば、憲法改正議論が欠かせないと私は思いますが、総理の一言で、今国会での憲法改正審議は先送りされました。「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」 愛国心に変わって政府案に盛り込まれた文言です。 子どもを育てているからわかることが一つあります。 どんなに法律を変えても、言葉を変えても、子ども達は変わる事なく育っていきます。子どもを育てるのは親であり、社会であり、地域であって、法律が育てるものではありません。今、着手すべきは、失われていく家庭での子育て力を支える事、社会、地域を再度立て直すことではないでしょうか。 どうして、与党が教育基本法改正を焦るのかが見えません。 与党は何がしたいのか。法案を改正してどんな国を作ろうとしているのかが見えません。さらに、「格差社会」解消に向けた積極的な動きはもっと見えません。 巨大与党の奢りがあるとすれば、そのつけを払わされるのは国民です。
2006年5月11日(木)
銭湯がなくなる
銭湯でお風呂上がりに飲むコーヒー牛乳が大好きでした。 子どもの時、おばあちゃんに銭湯に連れて行かれるのが楽しかった思い出もあり、今でも、子ども達を連れて時々銭湯に行きます。いわゆる温泉だ、ジャグジーだというスーパー銭湯ではなく、昔ながらの銭湯に。 今、東京都内の銭湯はピーク時の3分の1、1000軒を割ったと伝えられました。客離れと後継者不足に加え、お湯を沸かすための重油の高騰で、廃業を余儀なくされていることが原因です。独自に経済支援をしている区もあったのですが、東京都では、近く6年ぶりに入浴料を値上げし大人料金は400円から430円になると聞いていますが、値上げが客離れをさらに加速させるのではと危惧しています。 練習で、汗をいっぱいかいた少年野球の男の子達がユニフォームのまま来る様子とか、湯船に入った私の子ども達に「肩まで入りなさい」、「今、何才?」と地元のおばあちゃんが自然に声をかけてくれること、湯上がりに嬉しそうにコーヒー牛乳を飲む子ども達の横で、地元の人たちが商店街の話をしているなどなど、銭湯には「地域社会」が残っています。 都会ではマンション化が進み、隣近所に住んでいる人がわからなくなってきていますが、その上、銭湯がなくなっていくことで、「ご近所」、「裸の付き合い」、「地域」が薄まっていくことが残念でなりません。
2006年5月10日(水)
小沢一郎代表
昨日、小沢代表と参議院議員40人との懇談会が行われました。 「小さくなったとはいえ、衆参あわせて200人もいる党は、来年の参議院選挙で政権交代への弾みをつけたい」との代表挨拶から始まった会合は、実に賑やかに盛り上がったものでした。10人ずつ座るテーブルそれぞれに座って話される代表は笑顔を絶やさずに議員の話に耳を傾けます。そこには、メディアで評される「強面」を全く感じさせませんでした。 私の座るテーブルで、話が台湾、中国、アジアに及ぶと、代表は言いました。「アジア問題はきっちりと片をつけないといけない時期だ」 2年後には北京オリンピックが開かれ、中台問題は大きく注目をされます。韓国の大統領選挙、北朝鮮の動向など、今後数年のアジア情勢に日本がどのように携わり、どんな役割を果たすのか。いつ行われるかわからない総選挙では、党として積極的にアジア外交政策を取り上げていくべき、と私は考えます。 小泉首相が総理になられていたこの5年。アジアは本当に遠い地域になってしまいました。政権奪取に向けた小沢代表のアジア論、昨日は時間が足りませんでしたが、政策を聞きたい、と思わせる人です。
2006年5月9日(火)
社会保障制度
昨年の介護保険法改正案の審議で厚生労働省が力説をしたのは、この改正で「予防介護」、つまり重度の介護状態になるのを予防するためのサービスを始めるということでした。 この4月から改正された介護保険法では、これまで「要介護1、2」と認定されて各種の介護サービスを受けていた人でも、自治体の新たな認定で、「要支援1、2」に再認定されることがあります。「要支援」と認定された人たちは、地域の希望者と共に「地域包括支援センター」で筋肉トレーニングや栄養指導などの「予防介護サービス」を受けることになっていますが、その「予防介護」を支える地域包括支援センターが、200の市町村で設置できていないことが明らかになりました。 筋肉トレーニングが本当に予防につながるのか。し好や食習慣の異なる高齢者にきめ細やかな栄養指導ができるのか。これまで受けていた介護サービスを予防サービスに変える人たちがどれくらいいるのか。 昨年の議論では「予防の効果」についていくつもの質問がなされましたが、厚労省から明快な返事は返ってこないかわりに、地域包括支援センターが作られ、センターがしっかりやってくれる、とのことでした。 ところが、蓋を開けて見るとセンター設置が間に合わない市町村が出てきました。介護保険料も全国平均で800円も値上げをされることになりました。実際に介護を受けないと生活できない方々、そのご家族の不安はどれくらいでしょうか。 年金、介護に続いて今国会では「医療」制度も改正されますが、政府案の中身は、患者の自己負担率を高めていこうというもので、医療を提供する側、治療を受ける側の立場にたった改革は主張されていません。 高齢化社会がつきつける社会保障制度の問題を解決するには、与野党が一体となって知恵を出し合っていくしかありません。衆議院では、民主党の医療制度改革案を提出しましたが、政府与党は真摯に向き合ってくれないのが現実です。 高齢者の少ない時代につくられた社会保障制度そのものを抜本的に見直すことなしに、小手先で改正したものを与党は「改革」と呼んでいます。