消された年金記録

昨年明らかになった「消えた年金記録」5,000万件の問題とは別に、厚生年金に加入されている方の給与額が改ざんされている「消された年金記録」の問題があると、7ヶ月前から国会や、党の部門会議で私たちが社会保険庁に調査要請を行っていた結果が、ようやく昨日明らかになりました。
今回公表された調査対象は、私が2月に国会で質問をした時点で、総務省に設置された第三者委員会が社保庁の事務処理がおかしいとしてあっせんを行った17事案についてです(2月以降にあっせんされた31件の事案はこれから調査される見通しです)。結果は、1件は指導に誤りがあったもの、1件は社保庁の職員が改ざんに関与していたもの、そして残りの15件は職員に「記憶がない」ことと、当時の資料がないことからわからないとしています。

実際に自身の給与額が安く改ざんされ、本来もらえるはずの年金が減額されているとして被害を相談し、第三者委員会が減額処理はおかしいと公的に社保庁のミスを指摘したにもかかわらず、社保庁は「職員が覚えていない」、「資料がない」という2点で責任の所在を明らかにしようとはしませんでした。しかも、1件とはいえ職員が改ざんに関与した事例は、実は、私たちの会議で「社保庁の職員に給与の改ざんを指導され、当時の経営状態、保険料滞納状態から仕方なく私と社員の給与を安く直した」と勇気ある証言をしてくれたある会社の社長の事例です。この事例では、社長が当時、社会保険事務所職員とのやり取りを詳細にメモしていたことや、当時の給与明細額や給与訂正記録、職員が社長に変わって作成した提出資料などを全部保存していたことから、職員の「記憶がない」、当時の「資料がない」と調査をごまかすことができなかったものです。さらに驚いたことがあります。4月30日に中間報告が行なわれた時に、この事案で改ざんに関与した疑いのある職員は「提供された資料の筆跡は自分のものであるが、事業所名や当該事業所の事業主とのやり取りは記憶にない」と話していると報告がされました。しかし、昨日の党の会議でこの調査を行った社保庁の職員は、中間報告の時点でこの職員が「他にも複数件行っていた」ことと、「(改ざんを)自身の判断で行っていた」と話していたと明らかにしました。つまり、4月の時点ですでに職員の改ざんへの関与、他にも改ざんを行っていたとの証言が得られていたことを社保庁が隠蔽していたのです。国会開会中に事実を隠蔽し、閉会中にその事実を明かせば、国会の委員会など公的な場所で追及されることを逃れられるとでも判断したのでしょうか。信じがたいことです。
さらに、深刻なことが調査で明らかになりました。それは、第三者委員会で調査、あっせんが行われ自身の給与額が訂正された17人の他に、この方々と同じ事業所に勤務していた170名の方の給与額も実は改ざんされていたということです。
厚生年金保険料は社員と事業主が折半で納めます。社員の給与が低ければ低いほど保険料は安くなります。実際の給与額より給与を低く申請すれば年金保険料も安くなり、事業主の保険料負担は軽くなり納めやすくなったり、過去の滞納分を相殺することも可能になります(実際に社員の給与額を過去数年に遡って低く改ざんしたことで、社会保険料の滞納額1,000万円をなかったことに相殺した事業所の事例もありました)。保険料の額が安くなったとしても納めてくれれば保険料収納率は変わらないことから、社会保険事務所にとっても悪い話ではありません。給与の改ざんが行われていたとして相談した17人の給与額は訂正され年金に反映されますが、他の170人は未だこの事実を知らされていません。また、これから調査を始める31件のあっせん事案では、総務省の調べで、1つの事案で100人もの社員の給与が改ざんされていることも明らかになっています。
「消された年金」の被害者は知らされていない社員や、社員だった人です。社保庁の言う「記憶がない」、「資料がない」との詭弁では到底すますことはできません。私たちは閉会中でも厚生労働委員会を開いて審議をするように求めて行きます。総裁選なので年金問題は調査できない、との返答が与党からくるとは思えません。

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