昨日、麻生総理が記者会見を行い新たな経済対策を発表されました。
定額給付金、減反農家への補助金給付、高速道路料金の引き下げ、住宅ローン減税の延長、道路特定財源から1兆円を地方に配布、雇用保険料引き下げなどと経済対策の中身を説明された麻生総理は、「バラマキではない」と強調されました。そして、3年後には消費税引き上げを行いたいとされました。
この経済対策は本当にバラマキではないのでしょうか。
最大2兆円規模で全ての世帯にクーポンや現金を配る定額給付金が目玉とされていますが、1998年に15才未満の子どもがいる世帯やご高齢者に総額7,000億円の地域振興券が配布されましたが、内閣府の調査によれば、実際に消費に回ったのは2割から3割にすぎず、ほとんどが貯蓄に回ったとされています。過去、最終的な消費押上効果に反映されなかった地域振興券より規模を大きくし、全ての世帯に定額給付金を配布したところで、一体、どれだけの経済効果が見込めるのかは全くわかりません。
減反を行っている農家へ新たに補助金支給をすることが「食の安全」にどのようにつながり、農業従事者のやる気につながるのでしょうか。これでは、後継者不足を解消する道筋にはなりません。
道路特定財源から地方へ1兆円を配布するということですが、すでに交付している7,000億円に3,000億円を新たに積み上げるのか、それとも新たに1兆円を追加して交付するのかはわからない上に、どういう仕組みで配布するかも不透明です。
総理の示された経済対策は、家計への下支えという側面では一定の効果があるかもしれませんが、中長期的に生活の安定を確保するための改革案が示されていないことから、一時的な支援策にしか過ぎないと思われます。さらに言えば、3年後の消費税引き上げに言及しているものの、3年後も麻生氏は総理なのでしょうか。また、消費税引き上げのために一体どのような税制改革を行い、社会保障制度の改革を行っていくのかが示されていないため、逆に消費の引き締めにつながるのではないかと危惧します。
総理の会見を聞きながら思った事は、今の日本経済に求められるのは一時的な経済対策ではなく抜本的な構造改革でしかないということです。その意味で、私たちは212兆円もの日本の予算を劇的に組み替える改革を提案しています。麻生総理の経済対策なのか、民主党の掲げる予算の総見直しが求められるのかを判断するのは国民です。「政局より政策」と、麻生総理は強調されますが、ならば、その政策が国民の求めるものかどうかを問うために解散・総選挙を行うべきだと思っています。
今日午前の日経平均株価は、一時、前日終値に比べ330円以上も下落しています。マーケットから政治が信頼を得るためにも、国民の審判を受けた政党が政権を担当するべきではないでしょうか。